この記事の読みどころ
8月19日に発表される米消費者物価指数(CPI)はいつにも増して注目度が高くなっています。
CPIはFRBの金融政策へ最も大きな影響を与える指標とも言われています。
CPIを通じて米国の利上げ時期を推測するとともに、CPIと過去の利上げ時の株価の動きは頭に入れておきたいものです。
8月19日21:30発表の米消費者物価指数(CPI)に注目
8月19日(水)の日本時間21:30に発表予定の米国の7月消費者物価指数(CPI)は、ぜひチェックしておきたい経済指標です。CPIは、インフレ度合いをはかる重要な指標であり、米連邦準備委員会(FRB)の金融政策へ最も大きな影響を与える指標と言われるからです。株価や為替にも大きな影響を与える可能性があるため、国内外の市場関係者からも大いに注目されています。
今回のCPI発表は特に重要
CPIはそもそも重要なのですが、今回の発表には特に注目が高まっています。世界の多くの中央銀行が金融緩和を進めてきたのとは対照的に、FRBは2015年後半以降に利上げを行う可能性が取りざたされているためです。実際、FRBのイエレン議長も7月の議会証言で「米経済は望ましいとされる状況に近づきつつあり、利上げをこなせるだけでなく、利上げを必要とする状況にあると考える」と発言しています。こうした中、多くの市場関係者は、米国の利上げ時期が9月なのか12月なのか、もしくは年明けなのか関心を高めており、今回のCPIもその判断材料になるとの見方が強いのです。
CPIで米利上げ時期を探る
これまでのところ、米国のCPIは緩慢な右肩上がりの上昇をしてきました。7月CPI(コア指数・前月比)の市場予想は+0.2%となっており、これを下回る水準となった場合、利上げ時期が2016年にずれ込むとの思惑から、株価上昇の支援材料となる可能性があります。一方、8月19日に発表されるCPIが市場予想通りであれば、2015年内利上げシナリオの拠り所となる可能性があります。
過去の米国の利上げ前後の株価を振り返る
なお、過去4回の利上げ局面(87年・94年・99年・04年)において、米国の主要な株価指数であるNYダウは、全ての局面で利上げ前に上昇、利上げ後に一旦下落傾向となり、その後は再度上昇傾向に転じてきました。日経平均もNYダウと近い動きを示したものの、99年のみ利上げ前後ともに上昇しています。このことから、「概ね日米の株価は、米国の利上げ前に上昇し、利上げ後に短期的には下落する傾向にあった」と言えましょう。こうした点を踏まえて、個人投資家の皆さんも毎月第3週に発表されるCPIに注目していただければと思います。
【参考情報】 CPIの基礎知識
そもそも、CPIとは?
米国の消費者物価指数(CPI)は、米国労働省労働統計局が、毎月第3週に発表しています。勤労者の生活に密着した都市勤労者指数(CPI-W、全米人口の約32%が調査対象)と、勤労者を含む都市部の全消費者に密着した都市全消費者指数(CPI-U、全米人口の約87%が調査対象)の2つに分けられ、マーケットでは、都市全消費者指数(CPI-U)が重視される傾向があります。
少し細かい話になりますのであくまでも参考程度ですが、CPI-Uは1982年の物価水準がベースとなっています。原指数及び季節調整済指数を公表しており、伸び率に関しては、前年同月比及び季節調整済指数の前月比で表されることが一般的です。また、過去3ヶ月間の伸びを1年間に引き伸ばした場合の年率換算伸び率も公表されます。
個人投資家はCPIのコア指数をチェックしよう
個人投資家が、消費者物価指数を確認する際に注意すべき点を一つだけ。それは、食品・エネルギーを除いた「コア指数」を常に確認していくということです。通常のメディアでは、物価の話題が出る際に、ネギが高い、ガソリンが値上がりしたといった街頭インタビューの映像を使用されることが多いかと思います。しかし、食品等といったものは、そもそも消費者の需要そのものよりも天候の影響を受けやすく、値動きも激しいため、一般的な物価動向を把握するには、そうしたものを除外して検討するべきと考えられています。ただし、インフレ分析には消費者の実感に近い食品・エネルギーも考慮に入れるべきとの意見も多いです。
※元データの確認は米国労働省労働統計局のウェブサイトをご参照ください。
【2015年8月18日 投信1編集部】
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