真夏の陽射しが照りつける8月、蝉の声が響く街では、木陰を選んで歩くシニアの姿が多く見られます。
定年後の生活を支える柱として、多くの高齢者が頼りにしているのが「年金」です。
物価の上昇や医療費の負担など、老後の暮らしにはさまざまな不安がつきまといますが、実際に支給されている年金の月額はどのくらいなのでしょうか。
平均的な年金額を知ることは、現役世代にとっても将来の生活設計を考えるうえで大切な情報となります。この記事では、シニア世代が受け取っている年金の平均月額についてわかりやすく解説します。
暑さの厳しいこの季節、老後の安心を支える年金制度の現状を一緒に見つめてみましょう。
1. 日本の公的年金制度
公的年金制度は「2階建て」になっており、1階部分にあたる「基礎年金(国民年金)」の上に、2階部分にあたる「厚生年金」が積み上がるようなつくりです。
原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入するのは国民年金で、年金保険料(※1)は全員一律です。保険料を全期間(480月)納付すると、65歳以降で満額(※2)を受給できます。もし未納期間があれば、その期間に応じて満額から差し引かれます。
一方、会社員や公務員などが基礎年金に上乗せして加入するのが「厚生年金」です。
厚生年金は、収入に応じた年金保険料(※3)を納めます。受給額は、加入期間と在職中の収入に応じて計算されます。基本的には、加入期間が長く、収入が高かった人ほど、将来受け取れる金額は多くなります(ただし上限あり)。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度は月額6万9308円
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される