ソニー生命が、全国の中高生に対して行った「中高生が思い描く将来についての意識調査2017」の「将来なりたい職業ランキング」によると、「教師・教員」は、男子で7位、女子で4位と、非常に人気がありました。中高生が身近に触れ合える職業であり、何かと面倒を見てもらった経験などから、あこがれを持ちやすいのでしょうか。

……ですが、最近のニュースなどに鑑みると、教員という職業を続けることは、決して簡単なことではないようです。

教員の8割以上がストレスを抱えている

政府が全国の国公私立の小・中・高校教員3万5000人に実施した調査によると、教員の80.7%が「業務に関連するストレスや悩みを抱えている」と回答したといいます。正直「こんなに多いのか」とびっくりしますよね。複数回答可の調査ですが、ストレスの内容としては、

・長時間勤務の多さ(43.4%)
・職場の人間関係(40.2%)
・保護者・PTAへの対応(38.3%)

などが挙げられました。

そして、これらのストレス内容の多くは、結果的に上記にもある「長時間労働」につながっているといわれています。

残業を「前提」とした仕事量

あなたは、どれくらいの教員が残業をしていると思いますか? 「連合総研」の調査によると、週に60時間以上働いているという教員の割合は、公立小学校で72.9%、公立中学校では実に86.9%にまで上ると報告されています。これによれば、ほとんどの教員が、当たり前のように残業しているといえるでしょう。

理由はさまざまですが、

・部活の顧問が忙しすぎて、定時に帰ることは絶対に無理
・教員が少なくて、一人でいくつも授業を持っているから、予習の時間がかかってしまう

など、物理的に定時で帰ることが困難な仕事量を抱えているようです。

残業前提なのに残業代は出ない

せめて残業代をもらえればいいのですが、実は公立の学校では、残業代がまったく支払われません。私立の学校では支払われることになっていますが、「第3回 私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査報告書」によると、法定の時間外手当を支給している学校は、たったの12.1%という結果でした。

これに対しては、

・昔からこうだったが、自分たちではどうしようもできなかった
・残業したら、残業代が支払われるのが普通。ブラック企業よりもブラック

と悲痛な声が上がっています。

「変形労働時間制」で改善する?

こうした長時間労働への対策として、文部科学省が先日、「変形労働時間制」という制度の導入の検討を発表しました。ですがこの制度、次のように「なんの解決にもなっていない」と物議を醸しています。