老後の資金準備を考えている方の中には、シニア世代はどのくらいの貯蓄があり、生活費がいくらかかるのかを知りたい方もいるでしょう。
具体的に「老後資金の目標金額」を決める際には、シニア世代の平均的なお金事情について知っておくと参考になるでしょう。
本記事では、仕事を辞めて主な収入が公的年金になる方が多い傾向にある「70歳代」について、平均貯蓄額や1カ月の生活費の目安、平均年金受給額について解説していきます。
1. 【70歳代のシニア世代】貯蓄額(平均値・中央値)はいくら?「3000万円以上」は何%?
70歳代の平均貯蓄額について、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表している「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに確認していきましょう。
なお、当調査結果では「平均値」と「中央値」が掲載されており、それぞれ異なった値を示しています。
平均値とはデータの値の合計をデータの個数で割った値のことです。
データの全体を把握しやすいですが、極端に大きなまたは小さな値があると、その影響を受けやすく実際の平均とはかけ離れることがあります。
一方、中央値とはデータの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中になる値のことです。
データの極端な値に左右されずに、実態に近い中心値が把握しやすいですが、全体を把握するには適していません。
こういった特徴から、平均額を把握する際には平均値と中央値の双方を合わせて見ることが大切です。
70歳代二人以上世帯の平均貯蓄額は、平均値が1923万円、中央値が800万円です。
平均値と中央値に約1100万円の差が生じていますが、これは貯蓄額の多い世帯が全体の平均を押し上げているためといえます。
そのため、平均値は1923万円ですが、実際はそれよりも低くなると考えられるでしょう。
貯蓄額ごとの世帯割合は以下の通りです。
「金融資産なし」世帯が最も多く全体の20.8%を占めており、およそ5世帯に1世帯が該当することになります。
次いで多いのが「3000万円以上」世帯の19.0%で、金融資産なし世帯より若干少ないですが、ほぼ同じ割合存在することから、資産の多い世帯とない世帯の差が広がっているといえます。