3. 退職した人に生命保険・医療保険・がん保険は不要

生命保険の役割は、家計を支えている方が亡くなってしまったとき、遺族の生活を守ることです。定年後は子どもが既に独立していると考えられるため、生命保険に入る必要性は乏しいでしょう。

また、民間の医療保険やがん保険も不要です。民間の医療保険は治療費をまかなうのではなく、公的な医療保険ではカバーできない支出をまかなうことが目的です。具体的には、入院時の食事代や差額ベッド料などをまかないます。

これらの支出は数万円、入院期間が長引けば数十万円になることもあるでしょう。しかし、多くの世帯では貯金で十分にまかなえるはずです。がん保険の治療も、ほとんどは公的医療保険が適用されるため、医療保険と同様の理由で不要です。

貯金でまかなえる程度のリスクに対して、保険で備える必要はありません。保険は保険金の支払事由が起こらないと受け取れない一方で、現金であれば必要に応じて自由に使えます。高齢期においては、保険よりも流動性が高い現金を保有したほうが、何かと生活で役立つ場面が多いでしょう。

4. まとめにかえて

国民年金と厚生年金は、両方とも終身年金です。受け取れる年金を増やすためには、できるだけ長く厚生年金に加入することが効果的な老後対策です。

なお、退職後は子どもの独立により生命保険の必要性が低下し、医療保険やがん保険も不要なケースが一般的です。高齢期では保険金が支払われるかわからない保険よりも、自由に使える現金を保有する方が生活に役立つはずです。

一度加入している保険の状況を見直し、不要な保険は解約する意識を持ちましょう。

参考資料

柴田 充輝