公的年金は老後の生活を支える基盤ですが、厚生労働省の調査では、高齢者世帯の半数以上が生活に苦しさを感じており、特に国民年金のみの受給者の平均月額は5万円台と、厳しい現実があります。
こうした状況を支援するため、年金収入や所得が一定基準以下の年金生活者に対し、年金に上乗せして支給されるのが「年金生活者支援給付金」です。2025年度は2.7%増額され、老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5450円となりました。
この給付金の大きな特徴は、近年たびたび実施される「住民税非課税世帯への現金給付」などとは異なり、支給要件を満たす限り継続的に受け取れる支援である点です。
ただし、この給付金は「手続きをしないと振り込まれない」申請主義が採られているため、自身で手続きを行うことが必須です。
この記事では、「年金生活者支援給付金」を確実に受け取るために、最新の支給要件、具体的な給付額、そして手続き方法を詳しく確認していきます。
1. 【支給要件】年金生活者支援給付金、対象となるのはどんな人?
基礎年金を受給中の人で、所得が一定要件を満たす場合、「年金生活者支援給付金」を受け取ることができます。
「年金生活者支援給付金」は、「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類です。
1.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件《対象となるのはどんな人?》
老齢年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
1.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件《対象となるのはどんな人?》
障害年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得(※)が479万4000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
1.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件《対象となるのはどんな人?》
遺族年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※)が479万4000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
「年金生活者支援給付金」の支給要件には、いずれの場合も前年の所得額が関わっています。



