「家族信託」を使うことを決めたら、「信託契約書」をつくることになります。契約内容は、委託者と受託者が話し合って決めることができます。契約書を作成すれば、信託契約が成立したことになります。「信託契約書」をつくらなくても、遺言に「信託する」と定めておくことで、委託者が亡くなったときに信託契約を成立させることもできます。

 信託契約が成立していると、もし本人が認知症になって事務処理ができない場合でも、本人の代わりに「受託者」である長男が不動産の売買契約を結んだり、銀行預金を出し入れしたりできるようになります。

 年末年始やお盆といったシーズンには、実家に帰省する、あるいは離れて住んでいる子どもたちが帰ってくるという方も多いと思います。「いざ」という時は突然やってくるものですが、その時に慌てないためにも、こうした家族が集まる機会に一度、しっかり話し合って準備しておくのもいいかもしれません。

 

■ 瀬野 弘一郎(せの・こういちろう)
新宿総合会計事務所グループ 代表、税理士、行政書士。明治大学法学部卒業後、同大学院法学研究科博士前期課程終了。その後、三輪公認会計士税理士事務所入所。1987年3月税理士登録。1995年1月に新宿総合会計事務所開設。税務のことにとどまらず、ワンストップで法律や経営に関することを相談できる会計事務所として、日々お客様のニーズに応えている。

瀬野氏の著書:
もしもの時の「終活・相続」バイブル

瀬野 弘一郎