物価高により「年金生活が厳しい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

「年金生活者支援給付金」は、公的年金に上乗せして受け取れる恒久的な給付金で、支給要件を満たしている限り継続して受給できます。

基礎年金を受給していて、年金やその他の所得が一定基準額以下となる場合、支給対象になります。

ただし、受け取るには申請手続きが必要です。

なお、2025年度の年金生活者支援給付金は、前年度よりも2.7%増額されています。

今回は「年金生活者支援給付金」は《誰が・いくら》もらえるのか詳しく解説します。

「厚生年金と国民年金」の平均月額もご紹介しますので、ぜひ参考にご覧ください。

1. 【2025年度】「年金生活者支援給付金」の支給基準額はいくら?

「年金生活者支援給付金」は、公的年金やその他の所得が一定基準未満の人を対象にした制度で、老齢年金・障害年金・遺族年金のそれぞれに設けられています。

これらの給付金は、公的年金に上乗せして支給され、公的年金と同様に毎年度、物価変動などに応じて支給額が見直されます。

2025年1月24日、厚生労働省は2025年度の「年金生活者支援給付金」の給付額を、前年度比で2.7%引き上げると発表しました。

  • 老齢年金生活者支援給付金(月額):5450円(※基準額)
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円

老齢年金生活者支援給付金については「基準額」が公表されており、この基準額と保険料納付済期間などをもとに実際の支給額が計算されます。

なお、保険料納付済期間が40年(480ヵ月)に満たない場合は、その分が差し引かれる点に注意が必要です。

年金生活者支援給付金を受け取るには、一定の条件を満たさなければなりません。

次章では、その対象となる方の条件を確認していきましょう。

2. 「年金生活者支援給付金」の支給対象者とは?受け取るための条件を解説

年金収入およびその他の所得が一定基準を下回る場合、「年金生活者支援給付金」の対象となる可能性があります。

ここからは、それぞれの要件について確認していきましょう。

年金生活者支援給付金は3種類2/5

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」を受け取るための3つの支給要件とは?

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 「障害年金生活者支援給付金」を受け取るための2つの支給要件とは?

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

2.3 「遺族年金生活者支援給付金」を受け取るための2つの支給要件とは?

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く

いずれの年金生活者支援給付金も、前年の所得額が支給要件に影響します。

次章では、要件を満たした場合の年金生活者支援給付金の請求手続きについて確認していきましょう。

3. 【ケース別に紹介】年金生活者支援給付金の申請方法

年金生活者支援給付金の対象者には、日本年金機構から通知を兼ねた請求書が郵送されます。

この請求書の送付時期や形式は、年金の受給状況によって異なります。

ここでは、対象となる方の状況別に、該当者が多い2つのパターンを取り上げ、請求方法や発送タイミングなどを確認していきます。

3.1 ケース1:新たに年金を受け取り始める人が「年金生活者支援給付金の支給対象」となった場合

年金生活者支援給付金請求書(はがき型)3/5

年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ

  1. 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前給付用)に同封して送付
  2. 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出

3.2 ケース2:すでに年金を受給中で「新たに年金生活者支援給付金の支給対象」となった場合

  1. 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送される
  2. 必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函

請求手続きは、原則として支給対象となった翌月分から支給が開始されます。

対象者には請求書が届きますので、氏名など必要事項を記入し、速やかに返送しましょう。

次に、個人差という視点から、現在のシニア世代が受け取っている年金額について確認していきます。

4. 同じ年金でもこんなに差が…「厚生年金と国民年金」の平均月額を比較

ここで、現在のシニア世代が実際にどの程度の年金を受け取っているのかを確認してみましょう。

厚生労働省が公表する「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータを基に、60歳以上のすべての受給権者が受給している年金額を見ていきます。

年金の個人差4/5

年金の個人差

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

4.1 厚生年金の平均年金月額はいくら?

〈全体〉平均年金月額:14万6429円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

4.2 国民年金の平均年金月額はいくら?

〈全体〉平均年金月額:5万7584円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

男女差や個人差に注目すると、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均月額は、男性が16万6606円であるのに対し、女性は10万7200円にとどまっています。

厚生年金は加入期間と報酬額に基づいて受給額が決まるため、平均勤続年数が長く、生涯賃金も高い傾向にある男性のほうが受給額が高くなる傾向があります。

また、受給額は月2万円未満の低額から30万円超の高額まで幅広く分布しており、働き方や加入期間、収入の違いが色濃く反映されています。

一方、国民年金のみを受給する場合は、厚生年金ほど顕著な男女差は見られません。

これは、国民年金の保険料が一律制であり、加入期間に応じて受給額が決まる仕組みによるものと考えられます。

5. 【2025年度版 改定ポイント】年金の支給額はどう変わる?

2025年度からは、前述の「年金生活者支援給付金」だけでなく、公的年金の金額も改定されます。

ここでは、若い世代にもぜひ知っておいてほしい「年金」の基本について解説していきます。

5.1 今年度、年金の支給額は変わりましたか?

2025年度の年金額は、2024年度に比べて1.9%引き上げられました。

年金額は、物価や賃金の変動に合わせて毎年見直される仕組みとなっています。

物価が大きく上昇しても、賃金の伸びがそれほどでない場合には、年金額の引き上げ幅は賃金の上昇率に合わせて抑えられます。

これは、現役世代の負担が過度に増えないよう配慮するための仕組みです。

つまり、年金額は経済状況に応じて調整され、特に物価が高騰した場合でも、現役世代の負担とのバランスを踏まえて決定されるのです。

6. 年金生活者支援給付金の支給対象となる方は「申請手続きを忘れずに」

ここまで「年金生活者支援給付金」や「国民年金と厚生年金」の平均年金月額について確認してきました。

皆さんの今の生活費と比較してみると、老後生活を年金だけに頼ることを不安に感じた方も多いのではないでしょうか。

2025年度の国民年金や厚生年金は、前年度よりも1.9%増額されています。

また、年金生活者支援給付金については前年度よりも2.7%増えています。

年金生活者支援給付金の支給対象となる場合、国民年金や厚生年金に上乗せして支給されるため、支給要件を満たしている方は申請手続きを忘れずに行いましょう。

参考資料