長生きに向けて健康維持に励むシニアも多いです。同時に考えておきたいのが、老後のお金について。
厚生労働省の統計資料によると、90歳以上の人が受給する厚生年金の平均額は16万721円です。ただし年齢によって平均額は異なり、さらに個人差もかなり大きくなっています。
本記事では年齢ごと・個人ごとの年金額を見ていったあと、自分自身の年金額の確認方法について解説していきます。
老後に向けて、少しずつ考え始めていきましょう。
1. 公的年金は2階建て構造になっている
ひとことに「公的年金」といっても、国民年金と厚生年金の2階建て構造となっているため、それぞれ年金の水準が異なります。まずはしくみを復習しておきましょう。
1.1 国民年金+厚生年金のしくみ図
日本の公的年金は、1階部分に当たる「国民年金」と、2階部分に当たる「厚生年金」の2つの年金制度から成り立つ、2建て構造です。それぞれの年金制度の基本を確認しておきましょう。
1.2 国民年金と厚生年金の違いとは
「国民年金」は、基礎年金とも呼ばれる年金制度のベースとなる部分です。原則として国内在住の20歳以上60歳未満の全員に加入義務があります。
年金保険料は全員一律(※1)で、老後に受給する年金額は保険料納付期間に応じて決定します(※2)。
一方、2階部分の「厚生年金」は被用者年金とも呼ばれ、民間企業や官公庁などに雇用されている人が国民年金に上乗せする形で加入する年金です(※3)。
厚生年金保険料は、給与や賞与に基づいて決まり(※4)、老後に受給する年金額は現役時代の年金加入期間や納付額に応じて計算され、国民年金に上乗せする形で支給されます。
つまり、「国民年金のみを受給する人」または「国民年金+厚生年金のどちらも受給する人」のいずれかとなります。
- 国民年金のみを受給する人:フリーランス、専業主婦、自営業者など
- 国民年金+厚生年金のどちらも受給する人:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※5)に働き一定要件を満たした人など
現役時代の働き方や過ごし方により、老後の年金事情は大きく変わってくるのです。
※1 国民年金保険料:2025年度の月額は1万7510円
※2 保険料を480カ月の全期間納付すると老齢年金の満額(2025年度の月額は6万9308円)を受給できる
※3 被保険者区分は第1号~第4号。第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者
※4 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
※5 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など