2.3 引き上げ後の収入上限額は?

2026年の制度改正後も、在職老齢年金の基本的な仕組みは変わりません。年金の支給停止が始まる基準となる金額が「62万円」に引き上げられます。

【具体的な計算方法】

支給停止の判断基準は、先ほど説明をした「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額です。この合計が62万円を超えると、年金の一部が支給停止されます。

例えば、月10万円の老齢厚生年金の受給資格がある場合、支給停止されずに働ける収入の上限は月52万円(62万円−10万円)です。

年金額が変わらない場合、純粋に今よりも月額換算で12万円分も働く幅が広がることになります。企業にとっても、年金受給者にとっても可能性の広がる改正であると言えます。

3. まとめにかえて

在職老齢年金は、60歳以上で厚生年金に加入しながら働く場合、給与や賞与と老齢厚生年金の合計額に応じて年金が減額される制度です。この制度があることにより、労働に制限をかける年金受給世代の労働者も多くいます。

現行制度では、年金と給与等の月額合計が50万円を超えると年金が調整されますが、2026年からはこの基準額が62万円に引き上げられることが決定しました。

この改正により、年金受給者はより多くの収入を得られるようになり、企業と高齢労働者双方にとって可能性が広がる前向きな変更と言えるでしょう。

年金を受給しながら働かれている方、またはもうすぐそのような働き方をするようになる方は、ぜひ今後の働き方を考える参考にしてください。

参考資料

斎藤 彩菜