2. 2026年の改正案

以下では、2025年6月の国会にて成立した改正法案による在職老齢年金制度の変更点について詳しく解説いたします。

2.1 改正法案の概要

今回の改正法案では、働きながら年金を受け取る際の収入基準額の見直しが行われました。
現行の制度では、先ほど説明をした通り、毎月の給与などの収入と年金額の合計が50万円を超えると、その超えた金額に応じて年金の一部または全部が支給停止となります。この「基準額」が、改正法により62万円に引き上げられる見通しです。

2.2 法改正の背景

この法改正が行われた背景には、日本社会が直面している重要な課題があります。まず、労働力人口の減少により、高齢者の社会参加と労働市場での活躍が以前にも増して必要とされるようになりました。また、健康寿命の延伸などにより、老後も積極的に働きたいと考える高齢者が増加しています。

こうした社会変化を踏まえ、高齢者の活躍を後押しし、働く意欲のある方々がより働きやすい環境を整備するという観点から、今回の法改正が実現しました。この改正により、年金を受給しながら働く高齢者にとって、収入と年金のバランスがより取りやすくなり、社会参加へのインセンティブが高まることが期待されています。