夏を迎え、夏休みのご予定を立てられている方も多いかもしれません。長期休暇を目前に控え、ゆとりある老後生活への漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2025年度の年金額は、前年度より1.9%引き上げられましたが、実際に自分がいくら年金をもらえるのか、そして年金をもらいながら働く場合にどのような影響があるのか、正確に把握している人は少ないかもしれません。
本記事では、日本の公的年金制度の仕組みを改めて確認し、年代別の平均受給額の実態を明らかにします。さらに、2026年4月から変更となる「在職老齢年金制度」の改正ポイントについても深掘りし、あなたの老後設計に役立つ情報を提供します。
1. 公的年金制度の仕組みを理解
公的年金のしくみを復習しましょう。
1.1 【年金しくみ図】公的年金制度は「国民年金+厚生年金」の2階建て構造
公的年金制度は「2階建て構造」と表現されます。これは、1階部分にあたる「国民年金」と2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。
国民年金の加入対象は、原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人。年金保険料(※1)は全員一律です。一方、厚生年金は会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入し、収入に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金は、年金保険料を全期間(480月)納付すると、65歳で満額(※3)を受給できます。未納期間に応じて満額から差し引かれるルールです。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円
1.2 毎年見直される年金額。2025年度は1.9%引き上げ
公的年金額は、物価や現役世代の賃金の動きを踏まえて、年度ごとに改定されるルールがあります。
2025年度の年金額は、前年度より1.9%の引き上げとなっています。
2025年度の国民年金と厚生年金の年金額例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):6万9308円(+1308円)
- 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
増額後の月額は、国民年金(老齢基礎年金)は満額で6万9308円。また、厚生年金は「厚生年金を受け取る会社員の夫+国民年金を受け取る妻」の世帯をモデルとして23万2784円です。