お金に余裕のある「富裕層になりたい」というのは誰もが願うことだと思いますが、なかなか今のご時世では金融資産を劇的に増やすのは難しいですよね。一方で、富裕層と呼ばれる人たちが一定数存在することも事実です。
今回は、どれくらいの金融資産保有していれば富裕層と言われるのか、富裕層のポートフォリオはどうなっているのかを説明していきます。
日本にはどのくらいの富裕層が存在するのか?
野村総合研究所(NRI)が2018年12月に発表した「2017年の純金融資産保有額別世帯数と資産規模についての推計」と「NRI富裕層アンケート調査」によると、「富裕層」は118.3万世帯、「超富裕層」は8.4万世帯で、合計126.7万世帯となっています。これは日本の全世帯数の2%強にあたります。
ちなみに、前回2015年の推計では富裕層は114.4万世帯、超富裕層は7.3万世帯の合計121.7万世帯だったので、2年間で約5万世帯増えているいうことになります。
なお、NRIによる具体的な定義は以下の通りで、世帯の純金融資産保有額が1億円以上の層を富裕層としています。
- 超富裕層:世帯の純金融資産保有額が5億円以上
- 富裕層:世帯の純金融資産保有額が1億円以上5億円未満
- 準富裕層:世帯の純金融資産保有額が5000万円以上1億円未満
- アッパーマス層:世帯の純金融資産保有額が3000万円以上5000万円未満
- マス層:世帯の純金融資産保有額が3000万円未満
ここで言う金融資産とは預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険などを指しており、不動産は含まれていません。そのため、不動産の資産価値を加味した場合には富裕層世帯数はより増えることになるでしょう。
富裕層は何に投資しているのか?
富裕層が増えている理由は景気拡大と株価の上昇によるものであるとNRIは分析しています。近年はアベノミクスにより株価が上がり、株式保有をしていた富裕層は大きく富を増やしたはずです。そのため、準富裕層だった世帯が富裕層に、富裕層だった世帯が超富裕層に移行する傾向が続いているといいます。
では、富裕層は何に投資しているのでしょうか。仏コンサルティング会社キャップジェミニの「World Wealth Report 2018」によると、2018年第1四半期(Q1)における日本の富裕層の資産ポートフォリオは以下のようになっています。
- 株式:30%
- 現金及び現金同等物:45%
- 不動産:11%
- 債券:10%
- オルタナティブ投資:5%
日本の富裕層の特徴は、海外の富裕層に比べ「現金及び現金同等物」の割合が高いことですが、それでも株式を始め、さまざまな対象に投資を行っています。なお、不動産は自宅用ではなく、あくまで投資物件となります。
このように、日本人は投資が苦手と言われていますが、富裕層は少なからず投資を行っているということがわかります。
富裕層の子供は金融リテラシーや金融情報感度が高い
NRIの調査では、親が富裕層・超富裕層である可能性の高い子供を「親リッチ」と名付けています。
その「親リッチ」は「非親リッチ」に比べ、金融リテラシーや金融情報感度が高くなる傾向にあるという結果が出ています。親が裕福な場合は資産を親から子へ継承する必要があるため、金融サービスや商品に関する情報に若いうちから触れる機会が多いからかもしれません。
また、「親リッチ」の男性は、共働きや貯蓄・資産運用を行う時の夫婦間の経済的自立について積極的であるほか、男女共に海外就労や海外生活に対して積極的であるという調査結果も出ています。
こうした結果を見ると、親が富裕層であれば子供はその資産を継承できるということに加えて、金融リテラシーがある子供もまた資産運用に抵抗なく取り組むことで、富裕層世帯はさらに資産を増やしていくという循環が想像できます。
まとめ
日本の富裕層は世界的に見ると資産における現金保有比率が高めですが、それでも一部資産で株などへのリスク投資を行っています。また、親が富裕層の場合は子供も金融について若いうちから学ぶ環境があるためか、金融リテラシーが高くなる傾向にあります。
親から受け継いだ資産を、金融リテラシーが高い子供が運用することでさらに資産を増やすことができ、結果として富裕層に富が集中していくということなのかもしれません。
一般的なサラリーマンからすると、金融資産を1億円も保有するのはかなりハードルが高く感じると思いますが、富裕層のポートフォリオに習うと、少しでも金融資産を増やすためには投資も大切な要素だと言えそうです。
参考:「野村総合研究所、日本の富裕層は127万世帯、純金融資産総額は299兆円と推計」(野村総合研究所ニュースリリース、2018年12月18日)
LIMO編集部