上記の結果では貯蓄の中央値は1074万円(貯蓄ゼロ世帯を含めると1016万円)でしたが、それでも「本当にみんなそんなに持っているの?」というのが実感かもしれません。特に子育て世帯は出費も多く、なかなか思うように貯蓄が増えませんよね。

では次に、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成29年)」を使って、金融資産を保有する世帯の年代別金融資産保有額の中央値を見てみましょう。すると次のような結果になります。

20代の中央値:300万円(平均値:524万円)

30代の中央値:420万円(平均値:735万円)

40代の中央値:650万円(平均値:1014万円)

50代の中央値:1100万円(平均値:1689万円)

60代の中央値:1400万円(平均額:2062万円)

70代の中央値:1500万円(平均値:2512万円)

それでは、金融資産を保有していない世帯を含む年代別の中央値はどうなっているのでしょうか。

20代の中央値:77万円(平均値:321万円)
金融資産非保有割合:35.6%

30代の中央値:200万円(平均値:470万円)
金融資産非保有割合は33.7%

40代の中央値:220万円(平均値:643万円)
金融資産非保有割合は33.7%

50代の中央値:400万円(平均値:1113万円)
金融資産非保有割合は31.8%

60代の中央値:601万円(平均値:1411万円)
金融資産非保有割合は29.4%

70代の中央値:600万円(平均値:1768万円)
金融資産非保有割合は28.3%

30代の平均値は735万円ですが、中央値は420万円、金融資産非保有世帯を含めた中央値は200万円となり、やはり子育て世帯の貯蓄額は高いとは言えないようです。一方、60代の平均値は2062万円、中央値は1400万円、金融資産非保有世帯を含めた中央値は601万円で、退職金や子供の手が離れたことで自分たちの老後資金としての貯蓄額が増えているという印象です。

このように、日本では働き盛りの20~40代で貯蓄を増やすのは難しい様子が見て取れます。また、20~40代では金融資産非保有世帯も3分の1を超えているなど、貯蓄が困難な世帯はなかなか貯蓄ゼロ状態を抜け出せない傾向にあるようです。

まとめ

今回見た結果では、日本人の貯蓄額の平均は高齢者が押し上げており、働き盛りで貯蓄を増やすのは難しいようです。実際に貯蓄ゼロ世帯も少なくないことを鑑みると、退職金や老後の収入を得られる見込みがある場合は多少安心でしょうが、将来が不安な場合は若いうちから少しでも貯蓄を増やす工夫をする必要がありそうです。

LIMO編集部