株式投資で必ずしも誰もが儲かるわけではありません。何を買ったらいいのか、いつ売ったらいいのか、経験がない初心者にとって最初の株選びは敷居が高いというのが実際のところでしょう。今回は株式投資に興味があるが、日本株ではなく、米国株に興味があるという方向けに、株式市場が調整している今、何月に株を買えばよいのか、そもそもどのように向き合えばよいのか等について見ていきましょう。
なぜ日本株ではなく米国株なのか
株式投資といえば「やっぱり日本株でしょう」とお考えの方も多いかと思います。それは、日本株の方がなじみのある企業も多いですし、情報も日本語で入手しやすいということがあるかもしれません。
ところが、日本のGDPやグローバル株式のインデックスファンドにおける日本の比率はわずか数パーセントにすぎません。したがって、資産の大半の部分を日本株に投資してしまうと、自分のポートフォリオを全体で俯瞰してみると地域的な分散に偏りが出ているということもあるでしょう。
さて、トランプ大統領の就任自体も株式市場では大きな驚きをもって迎えられましたが、就任後に起こった米中貿易摩擦がここまで進展するとは多くの人は考えてはいなかったのでしょうか。
こうした貿易摩擦が加速する中、「米国株には手を出すべきではない」という意見があると思います。
実際に、ダウ工業30種平均(ダウ平均株価)やS&P500といった米国を代表とする平均株価指数が下落する局面では、そうした考えの方もいるかと思います。
ただ、注目すべきはどの国も景気の循環はあるものの、GDPに代表されるように付加価値規模や経済規模が拡大し続けている国(もしくは地域)はそれほど多くはないということです。
日本も「アベノミクス」以降、民主党政権以降、景気は拡大したものの、バブル経済以降の「循環する」環境からは大きく脱してはいません。プロ投資家の間では、日本株は「TOPIXが800まで下落したら買い、1800なったら売り」という人もいます。
伸び続けている好景気の時こそ、うまくその時流に乗ることができれば、初心者でも比較的簡単に利益を出すことができるのが株の基本です。
その一方で、株価指数が大きく調整した中でしっかりとポジションを作れる人がその後大きなリターンを手にします。その際にポイントとなるのが、「循環はあるけれども長期で右肩上がりである資産を見出せるか」、そして「株価が暴落した際に買い出動できるキャッシュポジションを常に用意できているか」がカギとなってくるでしょう。
こうしたことを考えると、経済規模が拡大し、その中で収益を伸ばすことができる企業が「多そうだ」と期待の持てる米国株はどうしてもひかれるものがあります。
日本株にはない、米国株のメリットとは何か
では、米国株には日本株にはない、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、日本株比で米国株投資のメリットについて見ていきましょう。
(メリット1)米国株は3か月に一度は配当がある
米国株が人気の一つは配当です。日本株に比べて高配当の銘柄も多く、選んでいて楽しいのも米国株の特徴です。
米国は株主のポジションがしっかり確立されていて、経営者が株主にどう報いるかという考えが定着しています。したがって、ROEのような経営指標が重視されるのはもちろんのこと、株主還元における配当や自社株式の買い入れなども注意深くウォッチされます。
日本企業には「ROEで10%を目指します」などと有価証券報告書や決算説明会資料に表記してある企業もよく目にしますが、これが米国基準であれば「ん?!なにかあえて書くような水準でしたっけ?むしろ低くない?」と指摘されるような環境です。
こうした環境にある米国株ですから、配当に関しては日本とも異なる点があります。
配当の回数も日本株が多くは年2回なのに対して、米国株は年4回が一般的なのです。
1銘柄もつだけでは、「毎月配当」というわけにはいきませんが、複数の銘柄を持つことで毎月配当のポートフォリオを作ることができます。
もっとも、季節ごとに配当収入があれば、おこずかいがもらえる感覚ともいえ、こうした点は初心者に好まれているところです。
(メリット2)米国の経済成長を享受できる
足元の米国株式市場はダウ平均株価をはじめ調整していますが、それまでのトレンドを振り返ってみると過去最高値を更新して勢いにのっていました。
米中貿易摩擦の影響や金利水準、今後の金融政策の変化なども懸念されていますが、過去の長期で見た株価推移のトレンドは一言でいえば右肩上がりです。
日本経済は少子高齢化で今後の経済は縮小すると言われているのに対して、アメリカ経済は常に移民を受け入れています。こうした株価の前提となる経済のファンダメンタルズなどは米国の方が魅力的といえそうです。
(メリット3)米国株は世界に名だたる企業へ投資ができるチャンスがある
米国株といえば、その代表的なものは「GAFA(ガーファ)」ともよばれる、グーグル(アルファベット)、アップル、フェイスブック、アマゾンといった企業はご存知の方も多いかと思います。マイクロソフトなどもM&Aを通じてビジネスモデルを変えようという動きが見えつつあります。
このように米国株でも日本人がよく知る企業はたくさんあります。
こうした企業も、もともとはベンチャー起業でしたが、いまや世界的な大企業です。米国では、ベンチャー企業が育ちやすい土壌があるということは、先ほど見てきた「人口が増え経済規模が拡大する」ということに加えて、さらに株式投資に醍醐味を与えてくれます。
そういう意味では何気なく投資してみた銘柄が、気づくと「10倍株」になっていたなんてこともあるかもしれません。
(メリット4)1株単位で買え、少額からチャレンジできる米国株
日本株の最低株数は基本的には100株からとなりました。ただ、銘柄にはよりますが、100株単位でも数十万円から100万円ぐらい用意しないと買えないケースもあります。
そうなると、手元資金がある程度余裕がなければなかなか投資できません。また、分散投資もできません。
その点、米国株は1株から買えるので手軽に買うことができます。ボーナスが入った時、おこずかいが入った時に気軽に投資できるのも魅力です(もっとも日本株にもミニ株のような制度もあります。ただし、ミニ株であると株主優待などを受けられません)。
余談ですが、手元資金がなく、複数の銘柄に投資をしたいというのであれば、投資信託が便利です。
インデックスファンドであれば、インデックスの動きに近似するような設計となっているので、相当数分散投資がされています。また、アクティブファンドであれば、プロ投資家が厳選した銘柄に投資をしてくれているので、個人投資家が気付かない投資機会を手にすることができます。
もっとも、投資信託の便利な点は、個人投資家がなかなか投資できない機会にアクセスできる商品がある場合には、お手軽に投資のエクスポージャーが持てることです。したがって、新興国株式であれば投資信託の選択肢の優先度が上がります。米国株の場合には、日本の個別株での投資することができる可能な環境が整いつつあります。
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株を買うなら何月が良いのか
さて、ここまで米国株式投資の特徴などを見てきましたが、株はいつ買えばよいのでしょうか。個人投資家の間では「いつ株を買ってよいのか」、「いつ売ればよいのか」というのが大きなテーマです。
もっとも、どの程度の時間軸で株式を売買するのかにもよりますが、月単位であれば、「アノマリー」という考え方も活用できるでしょう。
アノマリーとは、証券市場でCAPMに代表されるような現代ポートフォリオ理論では説明できない現象をいいます。有名なシーズンを意識したアノマリーとしては、「1月効果」や「ハロウィン効果」、「セル・イン・メイ(5月に株を売れ)」といったアノマリーがあります。
また、バリュー効果や小型株効果といったバリュエーションや時価総額に関するアノマリー、また株価動向によって回帰に特徴が出る平均回帰傾向などもあります。
こうしたアノマリーなども活用しながら投資タイミングを考えるのは良いかもしれません。年間を通じて考えれば、「1月効果」を狙った12月の仕込み、「セル・イン・メイ」に先んじて4月に株を売却しておく、そして10月末のハロウィンにはその後の株価上昇を期待して株を買っておくなど、アノマリーを活用した投資スタイルには注目です。
資産形成に株式は持っておきたいが、どこの株式を持つのか
米国株というと、ちょっとなじみがないと感じるかもしれませんが、一度始めると意外とはまってしまうのが米国株でもあります。
日本株だけを持っているより、米国株も持っているほうが、地域的にも分散投資ができます。
何月に株を買えばよいのかなど、自分なりのシナリオをしっかりと描いて、米国株の面白みを味わってみるのも面白いのではないかと思います。
参考資料
公益社団法人 日本証券アナリスト協会編「証券分析・投資運用用語辞典」
LIMO編集部