2. 高所得者に影響「標準報酬月額の上限引き上げ」

2025年6月13日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が成立しました。これにより、厚生年金保険料や将来の年金額の計算に使われる「標準報酬月額」の上限が引き上げられることになります 。

厚生年金等の保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

厚生年金等の保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

具体的には、現在の月額65万円が今後段階的に以下のように引き上げられます。

  • 2027年9月から68万円
  • 2028年9月から71万円
  • 2029年9月から75万円

標準報酬月額の段階的な引き上げは、現在の賃金水準に合わせて保険料を負担することで将来の年金給付にも反映させることを目的としています 。例えば、月収が75万円以上の人は2027年以降、段階的に保険料の本人負担が月額でおよそ9100円増える見込みですが、その分、年金月額も10年該当するとおよそ5100円の増加が見込まれています 。一方で、月収が65万円以下の方については、上限引き上げに伴う今回の変更による保険料や年金額への影響はありません 。このため、一部からは「高所得者の負担が増える」という声も聞かれます。しかし、納めた厚生年金保険料は所得税の社会保険料控除の対象となるため、税金の負担も考慮すると、実質的な影響は人それぞれ異なると言えるでしょう 。