投資信託にかかる費用を正しく理解しよう~信託財産留保額とは?

投資信託を購入するといろいろな手数料がかかる

みなさんが投資信託を購入される場合、いろいろな手数料がかかってきます。

販売手数料

初めに販売手数料がかかります。これはその投資信託を販売している銀行や証券に支払う手数料です。投資信託の中には販売手数料がかからないもの(ノーロードと言います)もあり、大手ネット証券ではこのノーロードが主流です。

販売手数料の料率は0~3%程度の幅があります。たとえば、3%の手数料率の投資信託を100万円分買おうとすると、3万円(税抜き)の手数料がかかるわけです。

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図表1:投資信託を購入・保有する際の諸費用

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出所:GCIアセット・マネジメント

信託報酬(運用管理費用)

次に、信託報酬と呼ばれる費用もかかってきます。信託報酬とは、運用期間中にその投資信託を運用している運用会社に支払う報酬(=手数料)です。この信託報酬率も投資信託によって異なり、年間0.2%程度~2%程度までさまざまです。

一般に、日経平均株価やNYダウ等のインデックス(株価指数)に連動する投資信託であれば信託報酬率は低く、そういった指数をより上回る運用目標を立てている投資信託の信託報酬率は高くなります。

前者は指数に組み入れられている銘柄を機械的に買えばいいので運用コストは低く(パッシブ運用と言います)、後者は銘柄をわざわざ選んで組み入れますので運用コストは高くなります(アクティブ運用と言います)。

コストで考えると、アクティブ運用>パッシブ運用となり、両者の違いをざっくり言えば、銘柄選択にかかるファンドマネジャーやアナリストの人件費の多い少ないではないでしょうか。

このように投資信託に投資すると、初年度で0.2%程度から5%程度のコストがかかってくるのです。

もうひとつの費用、信託財産留保額とは?

投資信託にはもうひとつかかってくる費用があります。それは信託財産留保額と呼ばれるものです。これは単純に運用コストとは言えないところがやっかいで、業界でも混同されている方がたくさんいらっしゃいます。

信託財産留保額とは、投資家がそのファンドを解約する(≒売却)際に“負担する”費用です。解約手数料と勘違いされる方が多いのですが、解約手数料であれば、販売会社や運用会社に支払うべきものですが、これはいずれにも支払われません。

では、信託財産留保額って一体何の費用なの?というところですが、これはその投資信託を解約する投資家が、解約金額の中の一部を他の受益者(=投資家)に残しておく費用です。

かなり分かりにくいと思いますが、簡単に言えばその投資信託を解約するのだから、残された投資家が不利にならないように解約した投資家が費用を一部負担する仕組みと考えてください。

たとえば、町内会で誰かが引っ越しすると、その分町内会費が足りなくなることが見越されますから、引っ越しする人が町を出ていく際に町内会費を余分に払っておく、みたいな感じでしょうか。

投資信託は解約すると、組み入れている有価証券を一部売却して解約資金を捻出しないといけませんので、その際にかかる売買手数料やその他の諸費用を投資信託本体が負担しなければならないのです。ですので、解約する投資家にはその費用の一部を置いて行ってもらおうというわけですね。

とはいえ信託財産留保額は費用ですから、販売手数料や信託報酬のようにコストと捉えられがちです。しかしながら、これは投資信託の投資家の不公平をなくすための費用と考えてください。料率は0.1%~0.3%程度で、実際には信託財産留保額を設定していない投資信託も数多くあります。

ということで、投資信託は毎年それなりにコストがかかる金融商品ですから、もともと短期売買に向くものではありません。結局、どっしり構えて長期運用でゆっくりリターンを得ていくのが王道なのです。

太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)

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太田 創
  • 太田 創
  • 一般社団法人日本つみたて投資協会
  • 代表理事

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。現在は一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版 2019年)などがある。