暑い夏がはじまりました。これからのシーズンは旅行やレジャーなど、何かと出費が増える時期でもありますね。さて、将来の生活を考える上で、老後の生活費や年金は多くの人にとって関心の高いテーマでしょう。
今回は、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」やJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の調査結果をもとに、65歳以上の単身無職世帯の家計収支や年金の実態、そして年代別の貯蓄状況について解説します。

1. 【65歳以上】「元・高給取り」や「貯蓄ゼロの人」も含めた家計収支の平均とは?

総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の単身無職世帯のひと月の家計収支データを見ていきます。

1.1 65歳以上《単身》無職世帯ひと月の家計収支

この家計調査は「元・高給取りの人」や「貯蓄ゼロの人」なども含めた65歳以上の単身無職世帯の全体の平均になります。

具体的に見てみると、ひと月の実収入が13万4116円で、その約9割にあたる12万1629円を主に社会保障給付(年金)が占めています。一方、支出合計は16万1933円で、このうち消費支出が14万9286円、税や社会保険料などの非消費支出が1万2647円です。

食料費は4万2085円で、消費支出に占める割合を示すエンゲル係数は28.2%でした。また、可処分所得に対する消費支出の割合を示す平均消費性向は122.9%となり、収入以上の支出がある状況を示しています。この結果、毎月2万7817円が不足している計算になります。

1.2 気を付けるべき「家計調査の結果」

先ほど紹介した家計調査の結果には、留意点がいくつかあります。

まず、支出の内訳に「介護費用」が含まれていません。また、住居費も1万円台と低めとなっています。

健康状態や住居環境などに応じて「わが家の場合はどの程度上乗せが必要か」を考えていく必要があるでしょう。

加えて「非消費支出」とある通り、老後の年金暮らしが始まっても、税や社会保険料の支払い義務は生涯続きます。シニアの多くがこうしたお金を年金からの天引きで納めていることも、ぜひ知っておきましょう。