相続手続きは、ただ故人の財産を分け合うだけでなく、ご家族の思いや関係性も絡み合うため、「争族(争う相続)」になってしまうケースも少なくありません。

「ウチは揉めるほど財産がないから大丈夫」

という方もいるでしょう。

しかし、実際に裁判所にもちこまれている相続トラブルの多くが遺産額「1000万円超~5000万円以下」のケースです。現金や預貯金に加え、不動産(自宅)も合わせると、この範囲になる方は少なくないでしょう。

亡くなられたご家族が遺された大切な財産。円満に解決できるのが一番ですが、予期せぬトラブルに発展してしまうこともあるのです。

本記事では裁判所のデータをもとに遺産分割トラブルの現状も確認していきます。「争族」を避けるためにやるべきこともご紹介しますので参考にご覧ください。

1. 【争族】遺産分割トラブルで最も多い遺産の価額は?

裁判所が公表している「令和5年 司法統計年報(家事編)」より、遺産分割トラブルで最も多い遺産の価額について確認していきます。

※分割をしない場合を除く

遺産分割トラブルの遺産の価額

遺産分割トラブルの遺産の価額

出所:裁判所「令和5年 司法統計年報(家事編)」をもとにLIMO編集部作成

  • 1000万円以下:2448件(33.8%)
  • 5000万円以下:3166件(43.8%)
  • 1億円以下:863件(11.9%)
  • 5億円以下:494件(6.8%)
  • 5億円を超える:33件(0.5%)
  • 算定不能・不詳:230件(3.2%)

遺産分割トラブルで最も多い遺産の価額は「1000万円超~5000万円以下」です。

次に多いのが1000万円以下。総数7234件の8割近くが遺産価額5000万円以下のケースとなります。

このように、相続トラブルは決して富裕層だけの問題ではなく、一般家庭にこそ起こりやすい問題であることがわかります。

「争族」となった場合、家庭裁判所の調停または審判の手続を通じて遺産分割を進めていくことになりますが、解決までに多くの時間を要する傾向にあるようです。次章で詳しく見ていきましょう。