2028年4月から、遺族厚生年金の仕組みが大きく見直されます。これまで制度上、年金を受け取りづらかった男性ですが、新たに「有期給付」が導入され、支給対象が広がる予定です。本記事では、制度の改正内容と背景をもとに、「妻に先立たれた夫」にとって何がどう変わるのか、わかりやすく解説します。万が一に備えるために、今のうちから制度のポイントを確認しておきましょう。

1. 【夫にも届く遺族年金】2028年から変わる新ルール

今回の遺族厚生年金の見直しで一番大きなポイントと言えば、《男女差》をなくすことです。これまで男女で異なっていた年金の受給ルールが統一されます 。これまでは、妻に先立たれた夫が遺族厚生年金を受け取るには、特定の年齢制限などがあり、女性と比べて受け取りにくい部分がありました 。

1.1 「子どものいない夫」現在の制度

  • 55歳未満:遺族厚生年金の受給資格なし。給付されない。
  • 55歳以上:55歳以上で配偶者と死別しても、60歳になるまで年金は支給されない。55歳で受給資格が発生しても、実際の支給は60歳から。(=5年間の“待機”状態がある)

1.2 「子どものいない夫」見直し後

  • 60歳未満(全年齢):新たに、原則5年間の「有期給付」がスタート。年金額は現行より約1.3倍(加算付き)で支給される。
  • 60歳以上の男性:従来どおり、無期給付として支給。制度に変更なし。

18歳年度末までの子どもがいない60歳未満の男性(夫)が、新たに5年間の有期給付を受け取れるようになります 。これにより年間約1万6千人の《もらえる夫》が、新たに遺族厚生年金を受け取れるようになると見込まれています 。