「今月の年金、少し減ってない?」──8月の年金振込後に、こうした声が毎年少なからず聞かれます。
年金額そのものは4月に見直されているはずなのに、夏に入ってから「手取り」が減るというのは、一体なぜなのでしょうか。
実は、年金受給者の振込額(手取り額)は、天引き額の変更によって8月から変動するケースがあるのです。
本記事では、振込額に影響を与える仕組みと、具体的にどのような人が増減の対象となるのかをわかりやすく解説します。
1. なぜ8月に「年金の振込額」が変わるのか?
老後の年金からは、所得税、住民税、国民健康保険料(75歳以上は後期高齢者医療保険)、介護保険料が差し引かれます。
このうち所得税以外は年度の途中に金額が確定することから、天引き額が年度途中から変更になります。
上図のように、自治体にて、前年の所得をもとに住民税や保険料が計算されます。住民税は6月頃、保険料は6~7月頃に確定します。
税額・保険料額が確定するまでの期間は、”前年度と同じ金額”を仮に徴収する(=仮徴収)。税額・保険料額が確定したら仮徴収分を差し引いた金額が徴収されます。この期間を本徴収といいます。
なお、この仮徴収と本徴収の期間は、年金支給月でいうと「仮徴収:4月・6月・8月」、「本徴収:10月・12月・2月」となるのが一般的です。
ただし早い自治体では本徴収が8月から始まるケースも。この場合、仮徴収分を差し引いた本徴収が「8月・10月・12月・2月」の4回、年金から天引きされます。
8月振込の年金から手取りが変わる人と、10月振込の年金から手取りが変わる人がいることになります。