2025年6月13日、国会で年金改正法が成立しました。改正内容の中には、現役世代の働き方や資産形成にダイレクトな影響が及ぶ項目も含まれています。

いわゆる「106万円の壁」の撤廃に向けた社会保険の加入対象拡大、遺族厚生年金の男女差解消、保険料や年金額の計算に使う賃金の上限引き上げなど、現役世代の家計やキャリアプランに深く関わる変更点が盛り込まれています。

公的年金制度は「老齢給付」だけではなく、現役時代の暮らしにも深い関わりがあることが分かりますね。働き盛りの世代が、自身の働き方と制度の関わりを正確に理解するきっかけとなったかもしれません。

今回の記事では、厚生労働省の一次資料をもとに今のシニア世代の年金事情を整理してお伝えします。あわせてリタイア世代の家計に関するデータもご紹介します。

働き盛り世代のみなさんが、遠い老後の年金生活をイメージするヒントとなればと思います。

1. 6月支給分から《前年より1.9%増えた》公的年金

2025年度の公的年金額は、3年連続引き上げられました。2025年度は前年度より1.9%の増額となっています。

1.1 2025年度の年金額の例

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

厚生年金は40年間「会社員として月額45万5000円(平均)を稼いだ夫」と「ずっと専業主婦もしくは自営業だった妻」の組み合わせをモデル世帯と想定。上記の年金額は、「夫の老齢厚生年金+夫婦2人分の老齢基礎年金」となります。

3年連続のプラス改定となった一方で、実は年金そのものは、実質目減りとなっているのです。