1. 年金の疑問1:毎年4月に年金が引き上げられるって本当?

4月から年金が増額されるという話題を耳にした方も多いのではないでしょうか。

厚生労働省の発表によれば、2025年度の厚生年金および国民年金は、前年度比で1.9%の引き上げとなりました。

令和7年度の年金額の例

令和7年度の年金額の例

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(+1308円)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)

※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

ただし、年金は後払い方式のため、増額分が反映されるのは4月支給月からではなく、4月・5月分はまとめて6月に支給される仕組みとなっています。

【一覧表】2025年の年金支給日カレンダー

【一覧表】2025年の年金支給日カレンダー

出所:日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」などをもとにLIMO編集部作成

  • 2025年2月14日(金):12月・1月
  • 2025年4月15日(火) :2月・3月分
  • 2025年6月13日(金) :4月・5月分
  • 2025年8月15日(金) :6月・7月分
  • 2025年10月15日(水) :8月・9月分
  • 2025年12月15日(月) :10月・11月分

1.1 実質的には「年金の価値」は目減りしている現状

年金が引き上げられること自体は朗報といえますが、実際には増額率を上回るペースで物価が上昇しており、実質的には年金の価値が目減りしている点に注意が必要です。

この背景には、マクロ経済スライド調整率の影響があります。

もともと年金額の改定は、物価変動率や名目賃金の変動率をもとに改定率が算出されますが、必要に応じてマクロ経済スライドによる調整が加えられる仕組みとなっています。

今回もマクロ経済スライドによる調整率「▲0.4%」が適用されたことで、年金の改定率は最終的に1.9%に抑えられました。

物価変動率が2.7%であるのに対し、改定率はそれを下回る結果となっているため、実質的には年金の購買力が低下していることになります。

年金制度の持続性を保つためには、やむを得ない措置ともいえるでしょう。