参院選が終わり、今後の経済対策の動向に注目が集まっています。

消費税減税の案もありますが、国税分の消費税は年金や医療、介護、子育て支援などの社会保障費の財源に充てられており、減税を実行するのは容易でないと考えられます。

2019年10月には、消費税率が10%に引き上げられましたが、同時に、この引き上げ分を財源とする「年金生活者支援給付金」という制度がスタートしたことはご存じでしょうか。

文字通り、「年金生活者」を「支援する」ための「給付金」であり、一定の要件を満たす基礎年金受給者に、月額5000円前後の年金生活者支援給付金が支給されます(老齢基礎年金の受給者は保険料納付状況により個人差が大きい点に留意)。

年金生活者支援給付金は、支給要件を満たす限り、継続して2カ月に1度の公的年金支給日に支給されるため、年金+アルファの貴重な収入源となるでしょう。

本記事では、年金生活者支援給付金について詳しく解説していきます。なお、支給要件を満たす場合、請求書を提出して申請しなければ受給できないため、申請方法も確認しておきましょう。

1. 「年金生活者支援給付金」とは?《老齢年金・障害年金・遺族年金の3種類》

「年金生活者支援給付金」は、老齢・障害・遺族それぞれの基礎年金を受給している人が、年金等の収入や所得の合計額が一定以下である場合に支給されるものです。

年金生活者支援給付金はだれでも受け取れるわけではなく、いくつかの条件を満たす必要があります。

どのような方が対象となるのか、確認してみましょう。

1.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件

老齢年金生活者支援給付金の対象は、下記の支給要件をすべて満たす方です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

1.2 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

1.3 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く

いずれの年金生活者支援給付金にも、前年の所得額が支給要件として関わっています。

次章では、年金生活者支援給付金の給付額について確認しましょう。