厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によると、2023年の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳となりました。
平成2年(1990年)時点と比べると、この30年余りで男女ともに5歳程度も延びているのです。
私たち現役世代は、親や祖父母の世代よりも、さらに計画的に老後の準備を進める必要があるでしょう。
セカンドライフを豊かに過ごすための長期的な資産形成を考える上で、まず知っておきたいのが「公的年金」ですね。
今回の記事では、私たちの老後の暮らしを支える「公的年金の仕組み」を整理します。
さらに、現在のシニア世代が実際にどの程度の年金を受け取っているのかを厚生労働省の一次資料を基に詳しく見ていきましょう。
働き盛りの現役世代がぜひ知っておきたい「繰上げ・繰下げ受給」についてもご紹介します。
1. 2025年度の年金額は「前年より+1.9%増額」
2025年度の公的年金額は、3年連続引き上げられました。2025年度は前年度より1.9%の増額となっています。
1.1 2025年度の年金額の例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
- 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
厚生年金は40年間「会社員として月額45万5000円(平均)を稼いだ夫」と「ずっと専業主婦もしくは自営業だった妻」の組み合わせをモデル世帯と想定。上記の年金額は、「夫の老齢厚生年金+夫婦2人分の老齢基礎年金」となります。
3年連続のプラス改定となった一方で、実は年金そのものは、実質目減りとなっているのです。