3. 「国民年金のみ受給」の人が受け取る年金額は約5万円
引き続き、同資料を参考に、国民年金の受給額事情についても見ていきます。
3.1 国民年金の平均月額はいくら?
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
3.2 国民年金の月額階級別の老齢年金受給者数をチェック
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
男女ともに国民年金の平均月額は5万円台で、最も多い層は「6万円以上~7万円未満」に集中しています。
国民年金は保険料が一律であるため、個人差や男女差があまり出にくいという特徴があります。
また、厚生年金の受給権があっても、加入期間が短い場合は予想より低い年金額になることもあります。
そのため、ご自身の年金加入状況や受給見込み額をねんきんネットやねんきん定期便で確認しておくことをおすすめします。
なお、年金の予備知識として覚えておきたいのが、「年金から天引きされる費用」についてです。
4. 「厚生年金と国民年金」から天引きされる4つのお金とは?
現役世代が毎月の給与から税金や社会保険料を差し引かれるのと同様に、シニア世代が受け取る老齢年金からも一定の金額が差し引かれます。
公的な書類では「特別徴収」と表記されますが、普段の感覚では「天引き」という言葉のほうがわかりやすいかもしれません。
ここでは、老齢年金から差し引かれる主な「天引き」の種類を4つに分けて整理してご紹介します。
4.1 個人住民税および森林環境税
一定の条件を満たすと、前年の所得に基づいて課税される住民税が、公的年金から天引きされて納付されます。(※非課税の場合は納付の義務はありません)
さらに、2024年度からは新たに森林環境税として年額1000円が徴収されることになっています。
4.2 所得税および復興特別所得税
老齢年金は「雑所得」として扱われるため、そこから所得税も天引きされます。
さらに、所得税とともに「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づく復興特別所得税も課税されます。
4.3 介護保険料
介護保険料は、64歳までは健康保険料と一緒に納めますが、65歳以降は単独での支払いとなります。
年金の年間支給額が18万円以上の場合、介護保険料は年金から自動的に天引きされます。
さらに、「要支援」や「要介護」と認定されて介護サービスを利用し始めた場合でも、介護保険料の支払い義務は一生涯続くことに注意が必要です。
4.4 健康保険料・後期高齢者医療制度の保険料
国民健康保険や後期高齢者医療制度(※)の保険料も、基本的には年金から自動的に天引きされる仕組みになっています。
※後期高齢者医療制度:加入対象は75歳以上のすべての人。一定の障害がある人は65歳以上で加入できる
5. 実際に生活に使えるのは「手取り」分だけ…対策を考えておこう
今回は、厚生年金や国民年金の受給額、そして年金から差し引かれる税金や保険料について見てきました。
現役世代の私たちも、給与明細を見るたびに「支給額」と「手取り額」の差を実感していると思いますが、それは老後も同じです。
とはいえ、実際に生活に使えるのは「手取り」分だけ。その中でやりくりしていくという意識は、今のうちから持っておくべきでしょう。
日本の物価は長らく落ち着いていたものの、ここ数年は世界的なインフレの影響もあり、今後も値上がり傾向が続く可能性があります。必要な支出とそうでないものを見極めながら、賢くお金と付き合っていきたいですね。