2. 障害年金の仕組みと年金額とは?

障害年金は、病気やけがにより生活や仕事に支障が出たときに支給される公的年金で、現役世代の所得保障としての役割もあります。

障害年金の受給者として認定されるためには、初診日の年金加入状況や、障害認定日における障害の程度など、一定の条件を満たす必要があります。

2.1 障害年金の仕組み

初診日に国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は等級により「障害厚生年金」または両方が支給されるため、障害年金は2階建ての構造になっています。

障害年金は2階建て

障害年金は2階建て

筆者作成

障害年金の仕組みについて、ポイントを2つにしぼって解説します。

等級によって受け取れる年金の種類が変わる

障害の重さを示す等級によって、もらえる年金の種類が変わります。1級と2級は、国民年金でも厚生年金でも支給されますが、3級と障害手当金は厚生年金のみに用意されている制度です。

そのため、障害の程度が軽い場合は、自営業など国民年金加入者は支給の対象外となることがあります。

扶養家族がいると加算がある

障害年金には、受給者に扶養する子どもや配偶者がいる場合に、年金額に加算される制度があります。たとえば、障害基礎年金では「子の加算」があり、障害厚生年金では「配偶者加給年金」が設定されています。

家族構成によって、支給額が増えることがあるのも障害年金の大きな特徴です。

2.2 令和7年度4月から改定された年金額とは

障害年金の金額は、物価や賃金の変動に応じて毎年見直しされます。

障害基礎年金の年金は1級と2級のみ

障害基礎年金の年金額(令和7年4月分から)

障害基礎年金の年金額(令和7年4月分から)

出所:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」

令和7年4月からの障害基礎年金の年金額は、1級が年額103万9625円(一部は103万6625円)、2級が83万1700円(一部は82万9300円)に設定されています。昭和31年4月2日以降に生まれたかどうかで金額に若干の差があります。

扶養する子どもがいる場合は加算があり、2人まで各23万9300円、3人目以降は各7万9800円が年金に上乗せされます。等級や家族構成によって受給額が変動します。

障害厚生年金の年金は1級・2級・3級

障害厚生年金の年金額(令和7年4月分から)

障害厚生年金の年金額(令和7年4月分から)

出所:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」

令和7年4月からの障害厚生年金は、会社員や公務員が対象で、加入期間中の給与額に応じて決まる「報酬比例」の年金額が基本です。

1級はその年金額×1.25に配偶者加給年金(23万9300円)が加算され、2級も同様に加算があります。3級は報酬比例額のみ支給され、最低保障額は62万3800円(または62万2000円)です。

報酬比例とは、加入期間と給与水準をもとに計算される仕組みです。なお、障害の程度が3級より軽い場合は、一時金として「障害手当金」が支給されることもあります。