2. 厚生年金と国民年金の月額平均と2025年度の年金額

厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金と国民年金それぞれの平均受給額には、性別や年金種類の違いによって明確な差が見られます。

厚生年金・平均年金月額

厚生年金・平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

厚生年金の平均受給額は、以下のとおりです。

  • 平均年金月額(全体):14万6429円

男女別の金額もチェックしておきましょう。

  • 平均年金月額(男性):16万6606円
  • 平均年金月額(女性):10万7200円

※国民年金の金額を含む

男女差が生じている背景には、女性が出産や育児などで就労期間が短くなりやすい点が影響していると考えられます。

厚生年金は保険料の納付期間や就業形態によって将来の受給額に差が出る点は、改めて意識しておきたいところです。

国民年金・平均年金月額

国民年金・平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

一方、国民年金のみを受給している人の平均額は次のようになっています。

  • 平均年金月額(全体):5万7584円

男女別の平均値も確認しておきましょう。

  • 平均年金月額(男性):5万9965円
  • 平均年金月額(女性):5万5777円

厚生年金に比べると男女間の差は小さいものの、そもそもの支給額が高くないため、老後の生活費をすべて賄うには心もとない水準といえるでしょう。

2.1 2025年度の年金額は増加も、物価上昇率にはおよばず

さて、この年金額ですが、厚生年金・国民年金とも毎年度金額の改定が検討されます。

2025年度は以下のとおりで、受給に関連する条件が全く同一の場合で、前年比+1.9%の増額となっています。

※1 昭和 31 年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額 6万9108 円(対 前年度比+1300 円)です。 ※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で 40 年間就業した場 合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

受給額が増加するのはよいことに見えますが、油断は禁物です。厚生労働省が公表した資料によると、前年の物価変動率は2.7%となっており、年金額の増加率を上回っています。

つまり受給額が増えても、それ以上に物価が上昇しているため、年金受給世帯は、よりゆとりのない生活を強いられる可能性があるのです。