8. 【在職老齢年金制度見直し】支給停止調整額が51万円から62万円へ

2025年6月13日、国会で年金制度改革関連法が成立しました。多様化する働き方やライフスタイルにフィットする年金制度を目指すものです。

この改正にはパートなどで働く人の社会保険加入対象の拡大(いわゆる「106万円の壁」の撤廃が関連)、遺族年金の見直し(遺族厚生年金の男女差解消、子どもの遺族基礎年金受給の要件緩和)など、注目すべきポイントがいくつかあります。

今回は、その中でも働くシニアへの影響が大きい「在職老齢年金制度の見直し」について見ていきましょう。

8.1 「在職老齢年金制度」の見直し

在職老齢年金とは、60歳以降で老齢厚生年金を受給しながら働いている場合、年金額(※)と報酬(給与・賞与)の合計が基準額を超えると、年金の一部または全額が支給停止となる制度のことです。
(※)老齢基礎年金は対象外となり、全額支給されます。

支給停止調整額(年金が全額支給される基準額)

支給停止基準額は年度ごとに少しずつ見直しがおこなわれてきました。

  • 2022年:47万円
  • 2023年:48万円
  • 2024年:50万円
  • 2025年:51万円
  • 2026年:62万円

今回の改正(2026年4月から適用)では、51万円(2025年度金額)から62万円へと大幅に引き上げられることが決まりました。

厚生労働省の試算では、新たに約20万人が年金を全額受給できるようになるとされています。

この引き上げにより、年金の減額を気にして「働き控え」をするシニア世代が、より自由に働き方を選べるようになると考えられるでしょう。

9. 自分のライフスタイルや価値観に合った資産形成を

この記事では、公的年金の仕組みと現代シニアの平均年金月額をご紹介してきました。

老後の年金額については個人差がありますので、しっかりと確認しておきましょう。

筆者はファイナンシャルプランナーとして日々お金に関する相談を受けていますが、最近は特に老後の資産づくりについての相談が増えていると感じます。

様々な手段がありふれている中、どの手段が正解か悩まれている方も多いかもしれません。

資産形成の手段を考える中で一番大事なのは自分に合った手段を考えることです。

大切なのは、自分のライフスタイルや価値観に合った方法を見つけることです。それこそが、資産形成の第一歩とも言えるでしょう。

焦らず、自分に合った方法を見つけていきましょう。

参考資料