2.2 繰り下げ受給を検討する
年金を繰り下げて受給すると、増額した年金を受け取ることができます。受給を1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ年金が増え、増額率は一生変わりません。最長の75歳まで繰り下げると、増額率は84%になります。
ただし、寿命は予測することができないため、繰下げ受給が最善の方法と言うことはできません。収入の状況や自身の健康面、家族の状況なども含めて判断し、選択肢のひとつとして検討してみましょう。
2.3 定期預金・国債に預ける
日銀の金融政策の変更に伴い、定期預金や個人向け国債にも注目が集まっています。今までは、ほぼゼロに近い金利でしたが、金利が上昇しているので、これらの金融商品を検討してみるのもよいでしょう。
金利が1%(年率)を超える定期預金も登場していますが、預入期間に注意が必要です。金利の表示は多くの場合、年率です。預け入れ期間が3カ月や半年であれば、この期間に対する利子が受け取れます。
定期預金や国債は低リスクなので、シニアの方も検討しやすい金融商品です。預入(購入)金額が大きい方が投資効率がよいので、当面使う予定のないお金の預け先として検討するのもおすすめです。
2.4 NISAなど、投資を検討する
リスクはありますが、投資経験がある方などは、NISAの利用を検討するのもよいでしょう。NISAは非課税制度なので、税金を支払うことなく運用できるのがメリットです。
ただし、NISAを通じて投資するのは投資信託や株式などのリスク性金融商品です。これらの商品に投資をするときは、長期の分散投資が望ましいのですが、シニアの方は10年単位の運用をおこなうことが難しくなります。
そのため、投資をおこなう場合は余裕資金でおこなうこと、債券の割合が多いバランス型の投資信託に投資をするなどして、資産全体のリスクを低くすることを心がけましょう。
資金に余裕がある方、リスク許容度の高い方は、高配当株や大型株の購入を検討してもよいかもしれません。優良企業の株を長く保有して、配当を受け取り続けるのもひとつの方法です。
3. まとめにかえて
今回は60歳代の平均貯蓄額を確認し、老後に向けた対策をお伝えしました。
少子高齢化の影響もあり、年金財政の将来が懸念されていますが、その他の社会保険料の負担も増える可能性があります。このような状況が続くと、実質の可処分所得の増加は当面の間は期待しにくいかもしれません。
早いうちから老後対策を進めておくこと、そして健康で長く働くことが、老後の生活を安心して過ごせるかのポイントになりそうです。