2. 【マクロ経済スライド】図表を使ってわかりやすく解説!

マクロ経済スライドによる調整のルールの見直し 「少子化、平均寿命の伸びなど長期的な構造変化に対応」

マクロ経済スライドによる調整のルールの見直し 「少子化、平均寿命の伸びなど長期的な構造変化に対応」

出所:日本年金機構「マクロ経済スライドのキャリーオーバー制度とは何ですか。」

マクロ経済スライドとは、現役世代の人口減少や平均余命の伸びといった社会情勢の変化を考慮し、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みのことです。

少子高齢化が進む中で、現役世代の保険料負担が重くなることを防ぐために、平成16年の年金制度改正で導入されました。

簡単に言うと、年金支給額を物価や賃金の伸びよりも低く調整することで、年金財政が破綻しないように抑えるための仕組みです。

具体的な計算方法は、賃金や物価による年金の改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びにより算出された「スライド調整率」を差し引いて、年金額を改定します。

スライド調整率=公的年金被保険者数の変動率(※)×平均余命の伸び率
※2~4年度前の平均

ただし、賃金や物価の伸びが小さい局面で、マクロ経済スライドを適用することで年金額が下がる場合は、改定は行われません。

あくまでも、賃金や物価が上昇した場合に適用されるものです。

では、マクロ経済スライドの仕組みについて、賃金や物価の変動ケースごとに確認していきましょう。

2.1 賃金や物価の上昇率が大きいケース

賃金や物価の上昇率が大きいケース

賃金や物価の上昇率が大きいケース

出所:日本年金機構「マクロ経済スライド」

物価や賃金が上がる局面では、マクロ経済スライドによる調整が行われることで、調整率の分だけ年金の上がり幅が小さくなります。