6. 【6月支給分から】厚生年金と国民年金は1.9%・年金生活者支援給付金は2.7%のプラス改定

公的年金と年金生活者支援給付金の支給金額は、毎年度ごとに見直しが行われています。

ここからは、2025年度の年金額例や、支給金額について解説します。

6.1 「厚生年金と国民年金」は前年度と比べ1.9%引き上げ

公的年金は、物価や現役世代の賃金の動向などを踏まえて毎年度見直されています。

2025年度は、2024年度と比べ1.9%の引き上げとなりました。

増額率が適用されるのは、6月13日金曜日に支給される「4月・5月分」の公的年金からです。

2025年年4月分(6月13日金曜日支給分)からの公的年金額

2025年年4月分(6月13日金曜日支給分)からの公的年金額

出所:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

2025年の増額改定により、公的年金は3年連続のプラス改定となりました。

しかし、マクロ経済スライド(※)によって物価上昇率を下回る改定率となっているため、実質的には公的年金額は目減りしている状況です。

※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ

6.2 「年金生活者支援給付金」は前年度と比べ2.7%引き上げ

「年金生活者支援給付金」は、2019年からスタートした恒久的な制度です。

基礎年金を受給していて、年金やその他の所得が一定基準額以下となる方が支給対象になります。

支給要件を満たし申請手続きを行うと、2カ月に一度の年金支給日に、公的年金に上乗せして支給されるしくみとなっています。

年金生活者支援給付金の支給金額「2024年度・2025年度」

年金生活者支援給付金の支給金額「2024年度・2025年度」

出所:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

  • 老齢年金生活者支援給付金:基準額:月額5450円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円

老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに保険料納付済期間や免除期間などに応じて実際の給付額が計算されるため、個人差が生じます。

7. まとめにかえて

本記事では、老後の大切な収入源となる公的年金について解説してきました。

筆者は元銀行員ですが、年金支給日にはよく窓口が混雑していた記憶があります。

公的年金は「2カ月に1度」支給されるため、しっかりとお金の使い方を考えていく必要があります。

無計画に資産を取り崩していくと、あっという間にお金の寿命は尽きてしまいます。

家計の状況を把握したうえで、お金にうまく働いてもらいながら、なるべく長くお金の寿命を延ばしていけるような資金計画を立てていきましょう。

参考資料