このように誰でも受けられる基礎控除が、ほとんどの人にとって10万円の減額となるため、基礎控除だけを見れば多くの人にとって減税となります。

しかし、実は同時にもう一つの改正が行われます。それが、給与所得控除の引き下げです。給与所得控除とは、給与所得者全員が受けられる控除のことです。給与所得者は、額面そのままが所得税の課税対象となるわけではなく、給与所得控除を引いた後の金額について課税が行われるのです。

この給与所得控除が、基礎控除の改正に合わせて10万円引き下げられます。つまり、基礎控除が10万円上がっても、給与所得控除が10万円下がってしまうため、結果として所得税の負担は、会社員については変わらないということになります。

結局のところ、今回の改正で減税になる可能性があるのは、個人事業主やフリーランス、個人のトレーダーなど給与の形で収入を得ていない人ということになります。

上記の改正に合わせて、給与所得控除の最大額の引き下げも行われるため、給与所得者にとっては増税となる改正になってしまいます。会社員も節税効果のある個人型確定拠出年金iDeCoへの加入など、できる限りの増税対策をしていくことが必要かもしれません。

渋田 貴正