5月も後半に入り、夏に向けて暮らし方を見直したくなる時期。
筆者はファイナンシャルプランナーとして、収入が年金中心に変わっていく60歳代の「お金との向き合い方やお金の整え方」について伝えています。
今回は、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の調査をもとに、60歳代単身世帯の貯蓄事情と、これから意識したい「使う・貯める・増やす」に整理してお金を管理する方法についてやさしく解説します。
1. 60歳代単身世帯「3割の人が金融資産ゼロで中央値は平均の5分の1以下」
まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」60歳代単身世帯の金融資産保有額階層ごと世帯割合(金融資産を保有していない世帯を含む)についてみていきましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
- 金融資産非保有:27.7%
- 100万円未満:8.9%
- 100~200万円未満:5.6%
- 200~300万円未満:3%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.8%
- 500~700万円未満:5.8%
- 700~1000万円未満:5.1%
- 1000~1500万円未満:8.2%
- 1500~2000万円未満:2.6%
- 2000~3000万円未満:6.1%
- 3000万円以上:16.8%
- 無回答:4.2%
- 平均:1679万円
- 中央値:350万円
60歳代単身世帯の金融資産保有額階層ごと世帯割合(金融資産を保有していない世帯を含む)についてポイントにそって解説していきます。
1.1 ポイント① 中央値は350万円、平均額の5分の1以下
60歳代単身世帯の平均金融資産は1679万円ですが、中央値はわずか350万円。
これは一部の高額資産保有者が平均を大きく押し上げているためで、実際の中間層はより慎重な資金計画が必要であることがわかります。
1.2 ポイント② およそ3割の人が金融資産ゼロ
「金融資産非保有」が27.7%と60歳代単身世帯の3人に1人近くにのぼります。
さらに「100万円未満」も8.9%。老後資金の準備が不十分な世帯が一定数存在することがうかがえます。
1.3 ポイント③ 300万円未満が全体の2割弱
金融資産保有の「300万円未満」は、合計17.5%(100万円未満~300万円未満の合計)。
この層は、ちょっとした支出の増加で貯蓄が尽きてしまうリスクがあるため、「支出管理」と「生活防衛資金の確保」がカギとなります。
60歳代・単身世帯の資産状況には個人差が大きく、「平均」と「中央値」のギャップや資産非保有者の多さが目立ちます。
これからの安心のためには、いくらあるかだけでなく「お金をどう整理するか」がカギになります。
次は、お金を「使う・貯める・増やす」に整理してお金を管理する方法を紹介します。