5月は子どもの遠足や運動会など、家庭でも出費が増えやすい季節。
30歳代の子育て世帯では、教育費や住宅ローンの返済などに追われながらも、十分な貯蓄ができていない家庭も少なくありません。
実際、30歳代の二人以上世帯のうち、約4分の1が金融資産を保有していないという調査結果もあります。
今回は、そんな世帯に向けて「お金の全体像」をつかむヒントとして、支出を4つのカテゴリーに分けて“見える化”しながら、備えるべき支出や削れる支出を整理します。
※なお、30歳代の二人以上世帯には子どものいない家庭も含まれますが、本記事では子育て世帯を想定して家計の整理術について解説していきます。
1. 30歳代二人以上世帯の【約4分の1が貯蓄ゼロ】
まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」30歳代二人以上世帯の金融資産保有額階層ごと世帯割合(金融資産を保有していない世帯を含む)についてみていきましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
- 金融資産非保有:24.5%
- 100万円未満:13.1%
- 100~200万円未満:11.3%
- 200~300万円未満:7.6%
- 300~400万円未満:4.9%
- 400~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:7.3%
- 1000~1500万円未満:7.9%
- 1500~2000万円未満:3.5%
- 2000~3000万円未満:4.2%
- 3000万円以上:2.8%
- 無回答:3.7%
- 平均:677万円
- 中央値:180万円
30歳代二人以上世帯の金融資産保有額階層ごと世帯割合(金融資産を保有していない世帯を含む)についてポイントにそって解説していきます。
1.1 ポイント①30歳代二人以上世帯の約4分の1が「貯蓄ゼロ」
金融資産非保有の割合は24.5%。
つまり、30歳代の二人以上世帯の約4分の1は金融資産をまったく保有していない、いわゆる「貯蓄ゼロ」の状態です。
将来への備えが不十分な可能性があります。
1.2 ポイント②実態に近いのは平均よりも「180万円」の中央値
平均額は677万円ですが、実態に近いのは中央値で180万円。一部の高資産世帯が平均を押し上げており、多くの家庭は200万円未満の貯蓄で生活していることがわかります。
1.3 ポイント③100万円未満の層が1割以上
金融資産が100万円未満の世帯は13.1%、100〜200万円未満も11.3%。
この層を合わせると30歳代二人以上世帯の約4分の1が200万円未満の金融資産しか保有していません。
全体の約半数が十分な備えを持っていないという深刻な実態が浮かび上がった30歳代二人以上世帯の貯蓄事情。
子育てや住宅購入などの支出が増えるタイミングと重なる30歳代は、本来なら貯蓄を本格化させたい時期です。
しかし、日々の生活費や教育費に追われ、「貯める余裕がない」家庭が多いことがみうけられます。
平均額(677万円)に惑わされず、中央値(180万円)を基準に家計の現実を直視することが重要です。