転職の面接などにおいて、新たに採用しようとする部署の社員が役員面接などの前に転職希望者を面接するシーンはよくあります。新卒採用であればグループ面接などがありますが、中途採用などであれば1対1(ワン・オン・ワン)の面接の方が多いのではないでしょうか。今回は、そうした面接の中で、面接する側が首をかしげたくなる瞬間があります。今回はそうしたシーンとその背景についてみていきましょう。

転職希望者が就職希望の企業について知らない

面接では、面接する側も、そして面接される側もお互い初めてということがほとんどではないでしょうか。そうした中で、とりあえずは、転職希望の理由や、過去にしていた仕事などが話題になる中で、どうしてこの企業を希望しているのかということに通常は話題になります。

ところが話を進めていくうちに、就職を希望しているのにもかかわらず、これから入社したいとする会社についての理解が足りていない人に出会ったりします。

たとえば、その会社を代表する経営者やビジネスパーソンがメディアなどで発言している内容や著作などにほとんど触れていないという人もいます。

個人的な体験を踏まえれば、その会社を代表する人物でベストセラーにもなった著作に目を通していないだけではなく、「存じ上げない」というコメントもありました。こうしたコメントを聞いてしまうと「この人はうちの会社にはきっと来ないのだろうな」と思い、面接での相手を知りたいという面接する側の熱も冷え切ってしまいます。

もちろん就職を希望する情報に触れていなければならないというのは現実的ではありませんが、会話は一般的な内容だけではなく、具体的な内容に触れなければ深みのないものになるという経験をしたことは多いのではないでしょうか。

今いる会社を批判する(ディスる)人

転職活動をしているのですから、現在勤務する会社についてよく思っていない人はいるかと思います。そういった人の中には、具体的には、いまの上司や同僚に不満のある人は多いでしょう。

ただ、それを転職活動の面接において面接官にぶつけるのは決して褒められたことではありません。

面接をしている側からすると、「この人はうちの会社に来ても上司や同僚の悪口をいうのだろうな」と思わざるを得ません。

こうしたことは普通に考えればわかりそうなものですが、実際の面接現場で現在の仕事についてのマイナス面を長々と話し続ける人は意外に多いものです。

そうした場面に出くわすと面接している方も精神的に疲れます。そして、そのフィードバックも決して良い内容とはなりません。

今いる会社を自慢し、面接を受けている会社と比べる人

今いる会社を自慢し、現在面接を受けている会社と比べる人がいます。二つ目のポイントと反対のようにみえますが、こうした行動も面接官に対しては良い印象を与えないことがあります。

自分が現在勤める会社に誇りを持つことは良いことですが、その結果、今いる会社を見下しているように面接官に受け取られることがあります。特に、同じ業界で自分がトップの企業に勤めているという状況で、それよりも業界シェアなどが下の会社に転職をしようとする倍にはそうしたシーンもあり得なくはありません。

面接する方からすれば、「なぜ今の会社よりも下位の会社を選ぶのだろうか。今の会社で次のキャリアがうまくいかなくなっているのだろうな」としか思ってもらえないのがオチでしょう。

この人はなぜここに来たのだろうか、と思わせないために

こうして並べてみると、「面接でそんなことを言う人はいるの?」「面接でそんな態度をする人がいるのか?」と思うかもしれませんが、程度の差こそあれ、ここまで見てきた態度やコメントを口にしてしまったという方もいるのではないでしょうか。

転職面接では、どのような仕事に対しても前向きで、そして当事者意識を持ち合わせた人が好まれる傾向にあります。そして、様々な状況の変化に対して柔軟な人材は、テクノロジーなどにより働き方の変化が起こりやすい職場環境では重宝されるでしょう。1年後も同じ仕事を同じ量こなしていたいという人は、職場のマネジメントからすれば、機械でより効率的に代替できないかなと考えてもおかしくはありません。

青山 諭志