2025年度の国民年金や厚生年金は、物価や賃金の変動などを反映して、2024年度と比べ1.9%の増額となりました。
公的年金が増えることは、年金受給者にとって喜ばしいニュースではありますが、物価上昇のスピードが速い昨今では決して楽観視できない状況になっています。
具体的には、総務省が2025年5月30日に公表した「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)5月分(中旬速報値)」によると、消費者物価指数の総合指数は《前年の同月と比べ3.4%上昇》しています。
本記事では、60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上「リアルな平均年金月額」はいくらなのか《年金一覧表》をもとに解説していきます。
2025年度の増額改定で年金がどれくらい増えたのか年金額例をもとにご紹介しますので、ぜひ参考にご覧ください。
1. 公的年金のしくみ「国民年金・厚生年金」加入対象や年金保険料はどうなる?
まずは、日本の公的年金制度の基本を整理しましょう。
公的年金は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
それぞれの「加入対象」や「年金保険料」、「老後の受給額」について見ていきましょう。
1.1 国民年金:1階部分
- 加入対象:日本に住む20歳以上から60歳未満の全ての人が原則加入
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間欠かさず納めれば満額(※2)
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被保険者:第1号~第3号に分かれる(※3)
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者
1.2 厚生年金:2階部分
- 加入対象:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて決まり(※5)、給与からの天引きで納付
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
- 被保険者:第1号~第4号に分かれる(※6)
※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者