5. 2025年度の年金額改定を深掘り!
2025年度になり、前述の「年金生活者支援給付金」だけでなく、年金も金額が変わります。
ここでは、若い世代が知っておきたい「年金」の基本について、説明します。
5.1 Q 今年度、年金の支給額は変わりますか。
→A 2025年度の年金額は、2024年度から原則1.9%引き上げられます。
年金額は、物価や賃金の変動に応じて、毎年見直される仕組みになっています。
物価が大きく上がっても、賃金の上昇がそれほどでない場合、年金の上がり方は、賃金の上昇率に合わせて調整されます。
これは、現役で働いている人たちの負担が大きくなりすぎないようにするためです。つまり、年金額は経済状況に合わせて調整され、特に物価が高騰した場合には、現役世代の負担とのバランスを考慮して決められているのです。
5.2 Q 年金額が増えるので、物価上昇の影響はあまり受けずに済みますか
→A いえ、年金の引き上げ額は物価上昇率より低いため、家計のゆとりが小さくなる恐れがあります。
年金の引き上げ額と物価上昇率の関係性は、以下の図のとおりです。
2025年度の改定額は、まず物価変動率と賃金変動率を比べて「低い方」を基準とします。直近3年度の物価上昇率は2.7%、賃金上昇率は2.3%だったため「2.3%」が基準となります。この時点で、年金の引上げ率が物価上昇率を超えることはないといえます。
さらに「マクロ経済スライドによる調整」により引上げ率は▲0.4%調整されました。これは平均余命の伸びや少子高齢化に伴う被保険者数の減少などを加味して支給額を調整するものです。年金制度を持続可能なものにするためには、支給額を抑えなければなりません。
以上のような調整により、物価上昇率が2.7%あるにもかかわらず、年金は1.9%しか上昇しません。個人の事情で受取額が急増しない限りは、受取額の増加が商品価格の上昇についていけないため、さらにゆとりのない生活を強いられる可能性があるのです。