2025年度の公的年金は、前年度と比べ1.9%引き上げられます。

しかし、物価の上昇に追い付いていないため、実質的には目減りしている状況です。

総務省「2024年(令和6年)労働力調査」によれば、65歳以上の就業者数は930万人となっており、前年より16万人も増加しています。

老後も働く方が増えていますが「70歳代世帯のお金事情」はどのようになっているのでしょうか。

本記事では、70歳代のお金事情について、二人以上世帯の貯蓄額における「平均」と「中央値」を見ていきます。

また、公的年金の《平均年金月額》の「男女差」や「個人差」はどれくらいあるのか詳しく解説しますので、老後生活の計画を立てる際にぜひお役立てください。

まずは次章で、「健康寿命」と「平均寿命」はどれくらいの差があるのか、わかりやすく解説します。

1. 気になる老後「健康寿命」と「平均寿命」はどれくらいの差がある?

厚生労働省が発表している「令和5年簡易生命表」によると、現在の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳(いずれも2023年時点)です。

また、2025年1月に総務省が公表した「2024年(令和6年)労働力調査」によると、全就業者数6781万人のうち、65歳以上の就業者数は930万人と、前年に比べて16万人も増加しています。

このように、シニアになっても元気に働く方々が増えるなか、健康寿命は、男性72.57歳、女性75.45歳となっています(2022年時点)。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。

厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」

厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」

出所:厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」

ここで気になるのが、健康寿命と平均寿命の差です。

働くシニア世代を後押しするしくみは整いつつありますが、医療費や介護費などがかさむ世帯が増える時期でもあります。健康面での不安を感じることも増えるでしょう。

このような時期には、貯蓄を取り崩しながら年金生活を送る世帯も増えるかもしれません。そのため、貯蓄をしっかりと計画し、年金生活を安定させることが大切です。

次章から、70歳代世帯がどれくらい貯蓄しているのか、その実態を見ていきましょう。