では、イオン以外の小売企業はどうでしょうか?
結論から言うと、ブラックフライデーを特売セールスの“ネタ”に使う企業は続々と増えています。
特に注目したいのが、昨年までブラックフライデーへ明らかに背を向けていたセブン&アイ・ホールディングスがついに取り組みを開始したことです。傘下のイトーヨーカドーでは11月22~26日に“堂々と”ブラックフライデーを掲げたセールスを実施します。その他、しまむらも昨年以上に注力していますし、ユニクロもブラックフライデーという呼称こそ使用しないものの、「誕生感謝祭」と銘打った特売を行います。
さらに、今年はこうした実店舗だけでなく、数多くのオンラインショップでもブラックフライデー特売を実施することや、旅行関連のオンラインショップ(格安ツアーやホテル等)が急増していることも特徴です。
実は本家本場の米国では縮小傾向へ。なぜ?
各店舗の広告を見ると、中にはブラックフライデーの意味をどこまで理解しているのか疑問を感じずにいられないものも散見されます。しかし、特売実施のネタに使うにせよ、日本でもブラックフライデーが浸透し始めていることは間違いありません。
ようやく、日本のクリスマス商戦の慣習も、米国に追い付こうとしているのでしょうか。
ところで、本家本場の米国では、最近はブラックフライデー商戦が縮小気味となっている模様です。原因は、アマゾン等のネット販売の拡大により、実店舗の閉鎖が相次いでいるからです。実際、今年は百貨店「シアーズ」を展開する流通大手のシアーズ・ホールディングスが破産法を申請するなど小売業界の変革スピードは年々加速しています。
このままだと、数年内には小売店に殺到するブラックフライデー恒例のシーンが見られなくなるかもしれません。こう考えると、浸透し始めた日本は、やっぱり遅れているのでしょうか?
葛西 裕一