今年2025年は「団塊の世代」がすべて75歳以上の後期高齢者となる年です。70歳代にさしかかると「自分亡き後の資産をどうするか」を考える人もいるでしょう。

金融経済教育推進機構(J-FREC)が公表する「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、70歳代(二人以上世帯)の30.6%が「老後の世話をしてくれるか、家業を継ぐか等に関わらずこどもに財産を残してやりたい」と回答。また、「老後の世話をしてくれるならば、こどもに財産を残してやりたい」と回答したのは13.8%でした。

一方で「こどもはいるが、自分たちの人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい」と答えた世帯も23.4%にのぼります。

約3割が、わが子に無条件で財産を残したいと考える一方で、自分たちの人生を楽しむために財産を使い切りたいと考える人も約2割となりました。

自分亡き後の資産に関する価値観は人それぞれですね。今回は、70歳代世帯の貯蓄事情や、今のシニア世代の年金事情について触れていきます。

1. 【70歳代ふたり以上世帯】貯蓄中央値は1000万円のラインを超えず…。平均はいくら?

金融経済教育推進機構(J-FREC)が公表する「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見ていきます。

※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

1.1 【70歳代】二人以上世帯の平均貯蓄額・中央値はいくら?

70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1923万円。ただし平均は一部の富裕層により引き上げられる傾向があります。そこで、より実態を表しやすい中央値を見ると800万円にまで下がります。

世帯ごとの貯蓄額分布を見てみましょう。

  • 金融資産非保有:20.8%
  • 100万円未満:5.4%
  • 100~200万円未満:4.9%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.7%
  • 400~500万円未満:2.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:6.4%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:8.9%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:3.5%

3000万円以上の貯蓄を持つ世帯が全体の19.0%を占めるかたわら、「貯蓄ゼロ世帯」と呼ばれる金融資産を持たない世帯も20.8%となっています。

70歳代世帯の貯蓄事情は、定年退職金や相続の有無、健康状態や世帯構成などの影響をうけ、おのずと世帯差が出ます。貯蓄が少なめの世帯では、年金生活を支える勤労収入や不労所得などの確保が大切となりそうですね。