2018年11月9日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、ソネット・メディア・ネットワークス株式会社2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:ソネット・メディア・ネットワークス株式会社 代表取締役社長 石井隆一 氏
取扱いサービス表記の変更について
石井隆一氏:本日は、ソネット・メディア・ネットワークス第2四半期決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。社長の石井でございます。本日は、ポイントをかいつまんでご説明いたします。
まず最初に、サービス表記の変更についてご報告いたします。これまで、おもにポータルサイト「ソネット」における広告販売などをメディアプランニングとして区分していましたが、これを「その他」という名称に変更させていただきたいと思います。
理由についてですが、「ソネット」のプロバイダとしてのポータルにおいて、ユーザー離れが進んで減収傾向になっており、この傾向が今後も続くと想定されるためです。下期からリソースを再配分、再配置するということで、「その他」にいたしました。
決算ハイライト(総括)
連結業績になります。主力のアドテクノロジー事業が牽引しまして、売上でプラス6億1,900万円の49億7,800万円、営業利益でプラス9,600万円の2億5,400万円と、前年同期比で増収増益の結果となっております。
アフィリエイト事業は、前年同期比プラス3パーセントです。昨年同時期に獲得しました1件の大型案件があり、こちらが終了したことで、成長率としては低く出ております。そちらの大型案件を除いたベースでは17パーセント成長しておりますので、引き続き好調と言えます。
その他における30パーセントの売上減は、契約変更により、グロス売上からネット売上に変更されたことが大きな要因になりますが、そのインパクトを除いても減少傾向にあります。
決算ハイライト(進捗率)
業績予想に対しての進捗状況になりますが、ほぼ計画どおりの進捗となっております。一見すると進捗が遅れているように見えますが、事業の特性としましては、例年下期……とくに第4四半期に売上、利益が偏重する傾向がありますので、予想に対しては順調に進捗しています。
決算ハイライト(売上)
売上の推移になります。前年同期比でプラス14パーセントとなっております。先ほど申し上げたとおり、アフェリエイト事業においては大型案件が終了した影響もあり、3%の成長率となっております。主力のアドテクノロジー事業に関しましては、前年同期比でプラス26パーセントで成長しております。これは、業界全体の成長を上回る成長と認識しております。アドテクノロジー事業の状況に関しましては、のちほどご説明いたします。
決算ハイライト(営業利益)
営業利益の説明になります。前年同期比で1.5ポイント改善し、5.1パーセントとなりました。こちらは上期の営業利益率としては、過去最高となっております。
おもな理由は、商材ミックスの変化……つまり、より利益率の高い商材へとシフトさせているというところです。また若干ではありますが、技術の収益化のところで、分業による効率化などが貢献しております。
当社は技術力強化のために、技術に対して積極的な投資を行っております。のちほどご説明しますが、人工知能活用による商材の拡販や、先ほど申し上げた運用の効率化など、具体的な効果が徐々に数字として出てきたと認識しております。
決算ハイライト(売上原価)
売上原価と粗利率の推移になります。限界利益率は改善していますが、R&D体制の強化など、技術に対する投資を積極的に進めている関係で、粗利率としてはほぼ横ばいとなっております。
決算ハイライト(販管費)
販管費の推移になります。前年同期比で1.4ポイント改善し、14.9パーセントとなっております。減少のおもな要因は、先ほど申し上げましたが、メディアプランニング事業において一部契約の変更により、売上の計上方法がグロスからネットに変更になった関係で、代理店手数料を計上しなくなったことによるものです。
人件費に関しましては、引き続き事業規模の拡大に合わせて増加しております。
決算ハイライト(貸借対照表)
バランスシートになります。ソフトウェアに対して積極的な投資を継続している関係で、無形固定資産が増加しています。全体としては、健全な状態を維持していると認識しています。
決算ハイライト(フリー・キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローに関しましては、営業キャッシュ・フローが順調に増加したことにより、フリー・キャッシュ・フローが上期で初のプラスの着地となりました。
アドテクノロジー
事業別の状況についてご説明いたします。アドテクノロジー事業は引き続き好調で、第2四半期としましては過去最高の売上を達成しています。以前はリターゲティング商材の依存度が非常に高かったのですが、昨年から商品ラインナップの強化を進め、ノンリターゲティング商材……リターゲティングではない商材を大きく伸ばしています。
代表的な商材としましては、当社で自社開発しているAIエンジン「VALIS-Engine」を活用した、潜在顧客ターゲティング商材の「VALIS拡張」です。これが非常に順調に採用いただいているところがポイントとなっています。今後は、動画などでブランディング領域を強化することで、さらなる拡大を目指していきたいと考えています。
もう1つの好調の要因としましては、1年半ほど前に西日本の事業所の人員強化や体制強化を行い、その効果が出てきたというところです。おもに西日本で大きく伸びたのも、今期の特徴になります。
アフィリエイト
アフィリエイト事業になります。前年同期と比べますと、大型案件の終了はあったものの、不動産等の既存カテゴリで伸ばしおり、全体としては3パーセントの成長です。先ほど申し上げました大型案件を除いたベースの成長としましては、17パーセントの成長となります。
一方で、この領域におきましては、コンテンツマーケティングの領域で新規サービスを仕込んでおります。こちらも、タイミングを見てお伝えしていきたいと考えています。
その他
その他になります。メディアプランニング事業に関しましては、先ほど申し上げましたが、これまで「ソネット」のポータルを中心に広告枠の販売をしてきました。(しかし)減収傾向にあるため、リソースの再配分・再配置を行い、その関係でビジネスの位置づけを再検討しております。
TOPICS アドテクノロジー①
ここからは、各事業のトピックスについてご紹介いたします。まず、ブランディング領域の強化です。1月より、動画広告商材「Logicad Video Ads」の提供を開始しています。7月には「Google Ad Manager」との接続を完了し、合計で約260億の在庫を確保しています。
また、動画広告が終わった後に、アンケートができる機能も7月に実装しました。アンケート結果とともにデータを集計し、レポート化してお客さまに提供するサービスも実現できています。まだまだ売上には大きく貢献する規模にはなっていませんが、今後の成長を期待している領域のため、引き続き力を入れていきます。
TOPICS アドテクノロジー②
当社の1つの課題としまして、「Logicad」のデータベースのリッチ化があります。「Logicad」のデータベースの強化として、日本最大級の企業データベースであるランドスケイプ社の「LBC」、また主婦層のデータベースである凸版印刷社の「Shufoo!」と連携いたしました。
これにより、法人向けや主婦層向けのターゲティングの精度が上げられることになります。データのリッチ化は非常に重要なテーマですので、今後もさまざまなデータと連携して、ターゲティングの精度を上げていきたいと考えています。
TOPICS アドテクノロジー③
「ads.txt」についてのお話をしたいと思います。昨今、インターネット広告の闇といったことが報道されていますが、当社は早い時期から、目視での不正監視や第三者ツールの導入を進め、不正広告対策を進めてきました。それに加えて、今般「ads.txt」と呼ばれる制御配信機能を実装することで、この機能をさらに強化しています。「ads.txt」によって、偽造された広告枠や不正なインプレッションを防止することができますので、引き続き、信頼性の部分に関しては力を入れていきたいと考えています。
TOPICS アドテクノロジー④
昨年12月に導入いたしました、顧客の分析・可視化ツール「VALIS-Cockpit」の機能追加を9月に実施いたしました。新しい機能としましては、広告を配信して、実際にクリックしたお客さまが、広告を配信する4週間前に、どのような興味・関心を持っていたのかという分析と、広告配信後、広告をクリックした後の1週間で、どのような態度変容が起きたのかを分析できるようになりました。
これを通じて、より精緻な施策を立案し、PDCAを回せるようになります。次にご説明しますが、AIによる運用工数の削減で、一部の運用者をコンサルタントというかたちで、実際にお客さまに寄り添って、PDCAの施策立案をサポートする役割に変更しています。
TOPICS ロボット・トレーディング
AIは、いわゆる「人の仕事を奪う」といったところではなく、「人の労働移動をする」というテーマがあり、AIによる労働移動ができてきたと考えています。
広告配信の自動化の話になりますが、何度かこの場でもお話をさせていただきました。2020年に実現させるとご報告してきましたが、現在は、前倒しで進捗しています。全体としましては、おおむね50パーセント程度の案件に導入しています。効果としましては、使用している運用者の工数が、およそ4割くらい削減できていることになります。
その分、運用する案件を増やしたり、先ほど申し上げた、いわゆるクライアントへのコンサルティングなど、より付加価値の高い仕事にシフトさせています。AIのアルゴリズムの開発は、非常におもしろいです。あるとき突然、開発のカーブが変わると言いますか、突然改善するということが起きます。それが、どのタイミングで起こるのかはわからないのですが、我々が想定していたよりも早く起こっています。実際に、2020年の導入に向けて前倒しできている状況です。
一方で、(スライド右側の)②に「他社への提供」と書いてありますが、こちらも実績が出つつあります。富士通さまにパートナーとして採用された事例が近いイメージですが、今後も大手企業で採用予定となっております。こちらも、タイミングを見て開示していきたいと考えています。
TOPICS 新規事業(Marketing Touch)
次に、インターネットとリアルをつなげるお話です。こちらは10月に正式に導入しました、実店舗向けのクラウドサービス、O2Oのソリューションで、「Marketing Touch」という名称で販売しています。
こちらの商品は「Logicad」で集客目的の広告を配信した後の、実店舗での来店計測ソリューションであると同時に、当社のAIエンジンを活用したマーケティングソリューションです。
「VALIS-Engine」によって、来店したお客さまがインターネット上でどのような興味・関心を持っていたのか、なぜ来店したのかというところまで分析・可視化することで、次の施策へとPDCAが回せる設計となっています。正式導入以降、多くの問い合わせをいただいており、一定の手応えを感じています。
ただし、サービスの性質上、最初はテスト導入で小さく始めて、(その後に)本格導入というかたちになりますので、実際の業績への貢献に関しましては、来年以降になると見込んでいます。
TOPICS その他
こちらが最後のページとなります。当期中の東証一部市場変更申請を目標に、準備を進めています。引き続き、規模の拡大と収益力、技術の強化を中心として、社会に貢献していくということを掲げてがんばっていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
ご清聴、どうもありがとうございました。