公的年金は、私たちの暮らしを支える大切なセーフティーネットの一つですが、働き盛りの現役世代にとっては「老後は本当に年金をもらえるのだろうか」と、漠然とした疑問を持つ人もいるでしょう。
現役時代の年金加入状況によって、老後に受け取る年金には個人差が生じます。「年金が受給できない・かろうじて受給はできるが金額が極端に少ない」というケースも中にはあります。
そこで今回は、「無年金・低年金」にフォーカスしていきます。
1. 基礎年金&厚生年金「みんな、どのくらい受給できている?」
今のシニア世代は、老齢年金をどのくらい受給しているのでしょうか。厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、平均額と受給額分布を見ていきます。
まず、厚生年金の平均年金月額は、全体で14万6429円(うち男性が16万6606円、女性が10万7200円)。また、国民年金の平均年金月額は全体で5万7584円(うち男性が5万9965円、女性が5万5777円)でした。
グラフで受給額分布のイメージをつかんでいきましょう。
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金の金額を含む
1.1 受給額ごとの人数
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
次は基礎年金(国民年金)の受給額を見ていきます。
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
1.2 受給額ごとの人数
1万円未満:5万8811人
1万円以上~2万円未満:24万5852人
2万円以上~3万円未満:78万8047人
3万円以上~4万円未満:236万5373人
4万円以上~5万円未満:431万5062人
5万円以上~6万円未満:743万2768人
6万円以上~7万円未満:1597万6775人
7万円以上~:227万3098人
厚生年金・国民年金どちらをみても、平均年金月額を大きく下回る受給権者が存在します。また、厚生年金の受給額は現役時代の「加入期間と収入」が反映されるため、幅広い分布となっています。
基礎年金(国民年金)のグラフを見ると、月額4万円未満の人が10.34%、さらに3万円未満に絞っても3.27%を占めます。ちなみに、2025年度の基礎年金(国民年金)の満額(※)は月額6万9308円です。
※「基礎年金(国民年金)の満額」:40年間(480カ月)の全期間、年金保険料を納めた場合に受け取れる年金額のこと。