4. 60歳代以降も「健康寿命&資産の寿命」を延ばす視点を

今回は、60歳代世帯の貯蓄事情を見てきました。

平均・中央値はあくまでご参考に。一部の富裕層や、贈与や相続で一時的に資産が増えたケースも一定数含まれていることが考えられます。みんな同じ条件で貯蓄をしてきた結果ではありません。

とはいえ、「シニア格差」ともいえる二極化が起こる背景としては、現役時代の若いころからのお金に対する心構えもある程度影響しているのかもしれません。

「人生100年時代」に老後を過ごすことになる私たち。健康寿命とともに「お金の寿命」を延ばす視点を持っていたいものです。

若いころから家計管理と貯蓄を進め、「預貯金+資産運用」で長い老後に備える工夫が求められるでしょう。また、いまの働き方や過ごし方が、老後の年金を左右することも意識しておきたいものですね。

5. 【ご参考】2025年度最新《多様なライフコースに応じた年金額例》現役時代の働き方や収入別の目安額を確認

厚生年金は現役時代の働き方や収入によって、年金額が大きく異なります。厚生労働省が2025年度の年金額改定の公表時に提示した、多様なライフコースに応じた年金額を紹介します。

多様なライフコースに応じた年金額

多様なライフコースに応じた年金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

5.1 パターン①:男性・厚生年金期間中心

年金月額:17万3457円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万8671円
  • 厚生年金:10万4786円

5.2 パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心

年金月額:6万2344円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8008円
  • 厚生年金:1万4335円

5.3 パターン③:女性・厚生年金期間中心

年金月額:13万2117円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円
  • 基礎年金:7万566円
  • 厚生年金:6万1551円

5.4 パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心

年金月額:6万636円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万2151円
  • 厚生年金:8485円

5.5 パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心

年金月額:7万6810円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万7754円
  • 厚生年金:9056円

この年金額例では、厚生年金加入期間が長く、収入が高いほど年金額が増加していることがわかります。

将来受け取る年金水準を大きく左右するのは、「国民年金と厚生年金のどちらが中心だったか」という点だということも見て取れます。

参考資料

吉沢 良子