公的年金は物価や賃金を考慮して、年度ごとに見直しがおこなわれています。

2025年度(令和7年度)分は、前年よりも1.9%引き上げとなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。

また、老後の年金額は現役時代の年金加入状況によって個人差が出ます。公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額となる場合は、年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性があることをご存じでしょうか?

この記事では、支給要件を満たせば「年間最大約6万円」が年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」についてお伝えしていきます。

※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ

1. 厚生年金がある場合でも「低年金」になる可能性はゼロではない

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の受給状況を見てみましょう。グラフの受給額分布から、個人差や男女差に着目してください。

国民年金・厚生年金の年金月額

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

 

【国民年金】平均年金月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

【厚生年金】平均年金月額

※国民年金部分を含む

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

国民年金の場合、全体、男女ともに平均月額は5万円台です。厚生年金の平均月額は全体で14万円台でした。男女別にみると男性は16万円台、女性は10万円台です。

ただし上記はあくまでもそれぞれの平均額。グラフが示す通り、国民年金の受給権者だけではなく、厚生年金の受給権者の中にも、月額5万円未満となるような低年金の人が一定数存在します。

年金とその他の所得を含めても、一定基準以下の低所得となる場合「年金生活者支援給付金」の支給対象となるかもしれません。この制度について、次で詳しく見ていきます。