5. 2025年度の年金額は1.9%引き上げに。8月は2回目の「2025年度の年金額」支給
公的年金は賃金や物価を考慮して年度ごとに見直しがおこなわれます。2025年度(令和7年度)の年金額は、前年度より1.9%引き上げとなっています。
3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。物価上昇に年金額が追い付けていないのです。
※マクロ調整スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
またシニアの多くは、下記の税や社会保険料を老齢年金からの天引きで納めています。
- 介護保険料
- 公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の保険料
- 個人住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税
年金見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますが、年金は「額面通りにはもらえない」点は意外な盲点かもしれません。
6. 制度は変わることもある。早くから年金について確認を
今回は現状の年金についてご紹介しました。
ただし、制度が一部改正される場合もあります。老後の柱である年金ですから、年金のニュースについてはアンテナ高く情報収集をするようにしましょう。
また、早くから年金制度や年金見込み額を確認することで、老後の年金を増やすような対策をとることができたり、老後の生活費を把握してそれに対して貯蓄などの対策をとったりすることもできるでしょう。
少子高齢化の日本においては、将来の受給額が下がる可能性もあります。また、昨今の物価高では老後の生活費に不安を抱える方もいるでしょう。
これを機に年金についてまずは制度などから調べてみてくださいね。
参考資料
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 日本年金機構「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
川勝 隆登