老後、年金をどのくらい受給できるのが理想ですか。いまの月収が40万円だから最低でも半分の20万円程度もらえないと困る、と考える人もいるでしょう。
厚生労働省が示すモデル年金額によると、平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円で40年間就業した会社員が65歳から受け取る老齢年金は、月額16万3476円です。内訳は、国民年金が満額6万9308円、厚生年金が9万4168円となります。
現役時代に一度も厚生年金保険に加入したことがない場合は、国民年金のみを受給します。2025年度の国民年金の満額は6万9308円です。
いまのシニア世代の人たちは月額どのくらい年金を受けとっているのでしょうか。厚生労働省の資料をもとに確認していきます。
1. 日本の公的年金制度は「国民年金と厚生年金」から成る2階建て構造
「年金制度は2階建て」などと言われます。これはベース部分となる「国民年金」と、上乗せ部分となる厚生年金から構成されるためです。
それぞれの年金制度の基本を整理しましょう。
1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)
- 加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金(被用者年金)
- 加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)
- 老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
1.3 老後に受け取る年金タイプは2種類
現役時代は働き方や立場に応じて「国民年金のみに加入する人」「国民年金と厚生年金の両方に加入する人」に分かれます。これに応じて、老後に受け取る年金も変わります。
次は、厚生労働省の一次資料をもとに、令和の老齢年金世代が実際に受け取っている年金額の平均を見ていきます。