いまのシニア世代の人たちは、どのような年金生活を送っているのでしょうか。
老後は一定の要件を満たせば、現役時代の年金加入状況に応じて老齢年金「国民年金・厚生年金」を受給できます。しかし、年金額が少なく生活が困窮する高齢者は少なくありません。
2025年5月7日、厚生労働省より発表された生活保護の被保護者調査の結果を見ると、2025年2月の生活保護世帯のうち、89万7525世帯(54.8%)が高齢者世帯となっています。このうち、単身世帯は83万6077世帯(51.5%)で、生活保護世帯の約半数が高齢単身世帯であることがわかりました。
収入も支出も、貯蓄額も、それぞれ個人差があるものですが、いまのシニア世代の平均値はどのくらいなのか。
本記事では、70歳代の「貯蓄額・年金額・生活費」を覗いていきます。老後対策の参考にご覧ください。
1. 【老後の貯蓄事情】70歳代・二人以上世帯の「貯蓄額」の平均はいくら?
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」から、70歳代・二人以上世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)がどのくらいかを見ていきます。
なお、貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 【70歳代】二人以上世帯の平均貯蓄額・貯蓄割合はいくら?
- 平均:1923万円
- 中央値:800万円
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19%
- 無回答:3.5%
70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1923万円ですが、この数値は高額の貯蓄を持つ一部の富裕層によって押し上げられた結果と言えます。
実際、中央値で見るとその金額は800万円にまで落ち込むため、現実的な目安はこの金額に近いと言えるでしょう。
また、3000万円以上の貯蓄を有する世帯は全体の19%を占める一方で、金融資産を一切持たない「貯蓄ゼロ世帯」20.8も%に達しています。
このことから、70歳代世帯の貯蓄状況は非常にバラつきがあり、定年退職金の有無や相続、健康状態、さらには世帯構成など、多くの要因に影響を受けていることがわかります。
特に貯蓄が少ない世帯では、年金生活を支えるために、追加の勤労収入や不労所得の確保が重要になるでしょう。
次章では、厚生労働省の一次資料を元に、現在のシニア世代がどれだけ年金(厚生年金・国民年金)を受け取っているのかを詳しく見ていきます。