専業主婦から共働きへと時代が変わる一方で、1歳~小学生までの3児を育てる筆者の周囲では、「仕事も大事だけど、もう少し子どもと一緒にいたい」「専業主婦だと肩身が狭い」と口にする女性も少なくありません。

結局は仕事か育児かのどちらかを犠牲にしたり、無理をしながら両立をしている人が多いのが現状でしょう。「自然な形の共働き」には、まだまだ足りないところが多いのです。

1人目と末っ子で変化する親の気持ち

周囲に多いのは、1人目のときは「早く仕事に復帰したい」と復職し、末っ子になると「できるかぎり子どもと長くいたい」と考えるママたち。大手企業にフルタイム勤務でバリバリ仕事をする女性も、1人目と2人目の育休取得は1年でしたが、末っ子は「最後だから長く一緒にいたい」と2年間の取得を決めました。

筆者も1人目の頃は、満3歳での未満児入園を決めました。仕事をしたい気持ちも強い一方で、「仕事をしていないと自分を見失いそう」といった焦りもありました。また、1人目育児は初めてのことの連続で、緊張感も大きかったように思います。

2人目以降になると育児にも慣れ、焦りもなくなり、長い目で人生を見て「小さな子と同じ家で暮らせるのはほんの数年のこと」という気持ちに。仕事もしたいし、今しか味わえない子どもの可愛さも堪能したいと思い、フリーランスという選択をしています。
 
たとえばフランスでは、育休が3年間取得できます。なるほど、3歳になればお友達への興味も強くなり、「預けようか」と思う頃。少しなら目も離せますし、イヤイヤ期が残るものの親が言うことの多くが理解できます。

また、フランスでは育休から復帰しても以前と同じ地位が保障されていること、預ける場所の選択肢が多く補助も手厚いことを見ると、日本ができることはまだまだ多くあるでしょう。

働き方の希望も十人十色

一方で、女性の働き方の希望は十人十色でもあります。正社員希望の人が多いですが、「フリーランスや起業が合っている」「子どもと一緒にいたいから小学校低学年まで専業主婦でいて、あとはパートで働く予定」「仕事はパートや派遣程度が自分にはちょうど良い。副業で自分の好きなことをしたい」「家族のサポートや家事が好きで専業主婦が合っている」という女性もいます。

しかし「専業主婦でいたいとは言いにくい」「転勤族だから就職できないけど周りが1年で仕事復帰すると焦る」と、専業主婦であることに焦燥感を持つ人も。「皆が預けているんだから自分も早く子どもを預けたほうがいいかも」と考える人さえいます。

共働き時代とはいえ、働き方の選択は十人十色であり、その人に合ったものを選ぶべきでしょう。堂々と「専業主婦です」や「もっと子どもと一緒にいたい」と言えるようになるといいでしょう。

今後はライフイベントに対応できる会社作りが必須

日本では、ゆくゆくは年金受給年齢や定年を70歳に引き上げるかもしれないという話も出ています。そうなると「育児」だけでなく、「親や配偶者の介護」「自身の病気」などで会社を休む人が増えるでしょう。

今までは会社も社員の育児・介護・病気といったライフイベントにうまく対応できていませんでしたが、今後は女性も高齢者も働くのですから、本当の意味での「働く人に合わせた会社作り」をすることが求められそうです。

何よりも大切なのは、一人ひとりが「お互い様」という気持ちを持つことかもしれません。誰にでも、仕事・育児・介護・病気は起こりえることです。「お互い様」という気持ちを持つことで優しくなれ、いざ自分がその立場になったときにも苦しみが減ることでしょう。

宮野 茉莉子