金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、単身世帯・二人以上世帯ともに、現役世代の約8割が「老後の生活が心配である」と回答しています。その最大の理由は「十分な金融資産がない」ことでした。
また、2025年4月25日に株式会社Wizleapが公表したシニアアンケート調査の結果によると、老後資金について全体の約5割(53.7%)が「貯蓄できていない」と回答。さらに1000万円以上の貯蓄がある人の約3割も「貯蓄できていない」と感じていることが分かりました。
長寿時代を見据えた資産づくりに関心を寄せる人が増える昨今。この記事では70歳代世帯のリアルな貯蓄事情を、金融経済教育推進機構の世論調査結果をもとに見ていきたいと思います。
記事後半では、標準的なリタイア世帯の家計収支、いまどきシニアの年金額に関するデータも紹介していきます。
1. 【ふたりの老後】いまどき70歳代の貯蓄額《平均と中央値はいくら?》
金融経済教育推進機構(J-FREC)が公表する「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」から、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見ていきます。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 【70歳代】二人以上世帯の平均貯蓄額・中央値はいくら?
70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1923万円。ただし平均は一部の富裕層により引き上げられる傾向があります。そこで、より実態を表しやすい中央値を見ると800万円にまで下がります。
世帯ごとの貯蓄額分布を見てみましょう。
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19.0%
- 無回答:3.5%
3000万円以上の貯蓄を持つ世帯が全体の19.0%を占めるかたわら、「貯蓄ゼロ世帯」と呼ばれる金融資産を持たない世帯も20.8%となっています。
70歳代世帯の貯蓄事情は、定年退職金や相続の有無、健康状態や世帯構成などの影響をうけ、おのずと世帯差が出ます。
貯蓄が少なめの世帯では、年金生活を支える勤労収入や不労所得などの確保が大切となりそうですね。
次では、2024年12月に公表された厚生労働省の一次資料をもとに、今のシニア世代がどの程度年金(厚生年金・国民年金)を受け取れているかを見ていきます。